【取材】Web3時代のチャレンジャーバンク目指す、ナッジが累計25億円調達

ナッジが累計25億円調達

国内のフィンテックスタートアップであるナッジ(Nudge)が、シリーズAラウンドを実施したことが6月14日に分かった。

ナッジは次世代型クレジットカードサービス「ナッジ(Nudge)」提供している企業だ。企業やブランド、著名人などがユニークなリワードのついたオリジナルのVISAに対応したクレジットカードを発行できるサービスを提供している。ナッジ昨年9月よりサービスを開始しており、今回の調達で、累計資金調達額は25億円になったという。

このシリーズAラウンドは、「One Capital」をリード投資家として、web3分野の海外投資家の「Mind Fund Group」、 既存投資家の「Insignia Venture Partners」 「Spiral Capital」「Headline Asia」「デジタルガレージグループ(DG Daiwa Ventures)」「FINOLAB FUND」及び創業者の沖田貴史らが参加した。

なお調達した資金は、各種サービス開発・運用体制の一層の強化とともに、「Web3時代のチャレンジャーバンク」に進化すべく、人員・組織・体制のさらなる強化に活用していくとのことだ。

ナッジは今年の4月にNFTをカードの利用特典として活用する実証実験「Cashless to earn」を実施している。その実証実験には、アーティスト加藤ミリヤ氏のチャリティークラブや、元プロ野球選手の松井秀喜氏が主宰するNPO法人である「松井55ベースボールファウンデーション 」参加している。

One CapitalのCEOでGeneral Partnerである浅田慎二氏は次のようにコメントしている。

「Web3時代のチャレンジャーバンクを目指すNudgeへの投資機会を頂けた事に感謝しています。沖田さんというProduct/Founder fitした起業家が描く未来の実現に向けてOne Capitalとしても総力を上げて支援させて頂きたいと思っております。

Read/Write/Ownという概念のWeb3時代には、新たなUser engagementを高めるサービスが出てくるはずですが、それらを下支えする『未来の金融機関』が必要と感じていました。Nudgeは、まさにその中核を担える可能性に満ちており一緒に挑戦できることにワクワクしています」

MindFundGroupのCEOのアダム・D・リンデマン(Adam D Lindemann)氏は次のようにコメントしている。

「Web3時代の幕開けは、チャレンジャーバンクにとって、顧客と金融商品・サービスの関係を再構築する全く新しい機会を開きました。 私たちMindfundは、金融包摂と日本の新しい若い世代のエンパワーメントという使命を担うNudgeを支援できることを大変うれしく思っています。」

なお今回の増資のリード投資家を務めるOne Capital代表の浅田慎二氏が、新たにナッジの社外取締役として就任することも発表された。

ナッジ代表取締役の沖田氏へ取材

「あたらしい経済」編集部は、ナッジ代表取締役の沖田貴史氏へ取材を行った。

−−「Web3時代のチャレンジャーバンク」の重要な構成要素は、なんだとお考えですか?

現在ナッジとしてサービスの形になっているのは、”cashless to earn”という『クレジットカード利用のリワードとしてNFTを受け取れる』というものですが、単なるweb3関連のサービスを提供するということではなく、組織やカルチャー、物事の考え方として、web3時代にあった金融機関を創り上げたいと考えています。

具体的には、これまでの金融機関/金融サービスに関しては『不満があっても諦めるか、ぶつぶつ文句を言うか』しか出来ませんでした。というのも、金融機関になるには規制などのハードルが高く、YouTube などのようにサービス提供者になることは現実的でなかったためです。

ナッジの場合は、アーティストやアスリートの方々なども、ナッジのサービスの上で、一緒に金融体験を作ることが可能になるので、よりユーザーニーズに近い金融サービスを提供することができるようになっています。

この4月から”Nudge for Students”という大学生/専門学校生向けのクラブを開始しているのですが、実際に大学生の方々とご一緒にサービス設計や運用を行っており、金融分野でもプロシューマーとして活躍いただいております。

また、組織の観点では、work from anywhereというワークスタイルも含めて、分散型の組織としています。金融機関は、セキュリティなどの関係もあり、伝統的に縦割りで上位下達の硬直的な組織が多いのですが、セキュリティを確保しつつ、分散型/コラボレーション型の組織を追求しているという点も特徴になると思います。

また、NFTについても単なるデジタルアートとしてでなく、アクセストークンとしての活用を既に行っています。 伝統的な金融サービスのユーザー認証は、ID/PWDや4桁の暗証番号であることが多いですが、ナッジは当初からAppでの本人認証をApple/Google のフェデレーションとしており、パスワード使い回しリスクを軽減していますが、将来的にはトークンを使った認証などにも挑戦したいと考えています。

−−また海外投資家から出資を受けた意図は、なんでしょうか?

ナッジは当面日本市場に特化しますが、人材やテクノロジー、既に広くグローバルなリソースを活用しています。これをさらに進めるためにも、海外投資家からの投資も積極的に受け入れています。また、彼らの投資先の中には、アジアのチャレンジャーバンクやweb3分野でのパイオニアもたくさんいるので、ポートフォリオ間での意見交換も、とても有用だと感じています!

NFTとは

「NFT(Non Fungible Token:ノンファンジブル・トークン)」とは、代替が不可能なブロックチェーン上で発行されたトークンを指す。NFTの規格で発行されたトークンは、そのトークン1つ1つで個別の価値を持つ。そのためNFTを画像や映像などのデジタルデータと紐付けることで、デジタルデータの個別の価値を表現することに活用されている。

なおNFTという言葉は現在幅広く活用されており、活用するブロックチェーンやマーケットプレイスの種類によって、その機能や表現できる価値が異なる可能性があることには留意が必要だ。

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参考:ナッジ
デザイン:一本寿和
images:iStocks/Bulgnn・BadBrother

この記事の著者・インタビューイ

竹田匡宏

兵庫県西宮市出身、早稲田大学人間科学部卒業。 「あたらしい経済」の編集者・記者。

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