アリババ・アントグループのデジタルバンク、シンガポールで事業開始へ

アントグループのデジタルバンクがシンガポールで事業開始へ

アリペイ(Alipay)運営のアントグループ(Ant Group)100%子会社のデジタルバンクであるアネクストバンク(ANEXT Bank)が、シンガポールで事業開始認可を受けたことが6月5日に分かった。シンガポール金融管理局MAS(Monetary Authority of Singapore)が6月2日に許可をした。

アネクストバンクは、シンガポール国内でグローバルに事業展開する中小企業に対してデジタル金融サービスを提供していくという。サービスの提供は、シンガポールの金融取引プラットフォームであるプロクステラ(Proxtera)と提携して行われるとのことだ。

まずアネクストバンクは、リモートで口座開設のためのオンボーディングや日次利息収益機能を備えた2通貨建てビジネス口座を提供する予定。今年の第3四半期から広く利用できるようにする方針とのこと。

アネクストバンクの最高経営責任者トウ・スーメイ(Toh Su Mei)氏は、次のようにコメントしている。

「私たちは、成長する企業にとって利用しやすく、負担の少ない次世代の金融サービスを提供する時が来たと信じています。デジタル経済が急速に加速する中、ビジネスモデルは変化し、ハイブリッドモデルを採用しないまでも、デジタルファーストへと軸足を移しつつあります。金融サービスは進化し、中小企業がデジタルでビジネスを行う場所でなければなりません。そして私たちは、アントグループの深いテクノロジーとノウハウ、そして中小企業コミュニティーに貢献する顧客志向の現地チームを活用し、このビジョンを実現するための態勢を整えています。オープンかつ協力的なアプローチを採用し、業界パートナーや公共部門と手を組むことで、よりシンプルで安全、そしてやりがいのある金融サービスを中小企業に提供できると信じています」

プロクステラのCEOサウラヴ・バッタチャリヤ(Saurav Bhattacharyya)氏は、次のようにコメントしている。

「プロクステラのコミットメントは、中小企業のグローバルトレードを簡素化し、ネットワークの力で中小企業を向上させることです。現代のテクノロジーを活用し、革新的なデジタルサービスの発見性、アクセス性、利用可能性、手頃な価格を改善します。貿易金融ソリューションへのシームレスなアクセスと利用可能性は、中小企業のビジネス成長を増幅し、事業拡大を加速させるでしょう。このミッションは、国境を越えた業務に従事する中小企業にサービスを提供するアネクストバンクの焦点と密接に結びついています。アネクストバンクのデジタルで生まれたアイデンティティとデジタルファーストの機能・サービスとともに、中小企業にとって貿易をより簡単に、シームレスに、そして効率的にすることができると確信しています」

なおアリババグループは傘下にブロックチェーン企業アントチェーン(AntChain)があり、昨年5月にはNFTマーケットプレイス「Blockchain Digital Copyright and Asset Trade」をリリースしている。またシンガポールDBS銀行は中国アントグループのブロックチェーン基盤を活用した貿易金融取引に成功させた実績を持つ。

参考:アネストバンク
デザイン:一本寿和
images:iStocks/jamesteohart・sumkinna

この記事の著者・インタビューイ

竹田匡宏

兵庫県西宮市出身、早稲田大学人間科学部卒業。 「あたらしい経済」の編集者・記者。