【取材】三井物産、フレアガス活用マイニング企業へ出資

三井物産、フレアガス活用マイニング企業へ出資

三井物産が、ビットコインマイニング企業クルーソーエナジー(Crusoe Energy)へ出資を行なったことが5月25日に分かった。三井物産は、クルーソーエナジーの戦略パートナーとして海外展開などで協業を進めていくとのこと。

クルーソーエナジーは、フレアガス等の余剰エネルギーを活用したビットコインのマイニング企業だ。なおフレアガスとは、ガソリンや軽油を作る際に発生する可燃性および毒性あるガスのこと。具体的に安価な燃料であるフレアガスを発電に利用することで、クリーンでコスト競争力の高いクラウドコンピューティングリソースを実現している。

三井物産は、脱炭素社会実現に向けフレアガスや活用しきれていない再生可能エネルギーなどの余剰エネルギーを、コンピューティングリソースや電力需給調整向けへ有効活用することに着目しているという。

またクルーソーエナジーは「今後需要の増大が見込まれる暗号資産マイニング、AI、再現・予測シミュレーション、タンパク質・DNA解析、グラフィック生成などの分野の計算処理を安価に提供することが可能」だと発表で説明している。

ちなみにクルーソーエナジーは4月末にシリーズCラウンドで3億5000万ドル(約450億円)の資金調達を完了している。

加筆:5/26/12時30分

三井物産担当者へ取材

「あたらしい経済」編集部は、三井物産の担当者へ取材を行なった。

−−ビットコインマイニング市場について、どのようなビジネス可能性を持たれているのでしょうか?

暗号資産マイニング向けデータセンターは一般的な通信ネットワークで対応可能であることから、世界中での設置制約が少ない点が特徴です。

結果として、世界中に点在する未活用エネルギーに対して新たな価値をつけることが可能となり、エネルギー×デジタル領域での事業チャンスが広がると考えています。

−−またマイニング事業において、総合商社が価値提供できる役割は、具体的に何でしょうか?

具体的には電力市場での価値提供に可能性を感じており、例えば電力価格高騰時等にマイニング向けデータセンターを電力需給調整弁として活用することにより電力安定化に寄与し得ると考えます。

本件は実事業で実現するべく、現在事業化検討中です。また、クリーンエネルギーの活用・可視化等を通じ、マイニングを含むクラウドコンピューティングパワーに対しての社会的認知・受容を促進、業界の成熟に貢献出来ると考えます。

総合商社である三井物産が保有する世界中のネットワークを駆使して、これらの可能性を追求してまいりたいと思います。

参考:三井物産
デザイン:一本寿和
images:iStocks/LongQuattro・Samuil_Levich

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この記事の著者・インタビューイ

竹田匡宏

兵庫県西宮市出身、早稲田大学人間科学部卒業。 「あたらしい経済」の編集者・記者。

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