TRMとバイナンスら、暗号資産詐欺の報告プラットフォーム立ち上げ

TRMとバイナンスら、暗号資産詐欺の報告プラットフォーム立ち上げ

暗号資産取引に関するセキュリティツールを提供するTRM Labsらが、詐欺報告プラットフォーム「チェインアビュース(Chainabuse)」の立ち上げを5月18日に発表した。ちなみに「Chainabuse」は無料で利用がきる。

「Chainabuse」を立ち上げた目的は「暗号資産エコノミーに参加する全ての人が、詐欺、ハッキング、その他の詐欺的行為に出会ったときに、他の人に注意を促す力を身につけることができるようにするため」とリリースで説明されている。

そして「Chainabuse」はコミュニティを活用したプラットフォームとなっており、web3業界のリーダ企業がパートナーとして参加している。具体的には、サークル(Circle)、ソラナ財団(Solana Foundation)、アーベ(The Aave Companies)、ヘデラ(Hedera)、バイナンスUS(Binance.US)、シビック(Civic)だ。

各サービスのユーザーが「Chainabuse」の掲示板に書き込む形で、詐欺事項を共有する形となっているようだ。「Chainabuse」のサイトによれば、イーサリアム、ビットコイン、ソラナ、ポリゴン、ヘデラ、バイナンススマートチェーン、トロンを利用するユーザーが、詐欺事項を報告している。報告内容はウォレットアドレスなどだ。

また同じアドレスに関する情報は、検索可能なデータベースに統合され、ユーザーは詐欺リスクあるアドレスやプロジェクトを確認できるようだ。ちなみに現在は、ウクライナの暗号資産を活用した資金調達キャンペーンに関する100以上の詐欺などが報告されている。

また「Chainabuse」はパートナーである暗号資産プラットフォーム事業者に、ユーザーからの不正行為報告の統合ビューを提供し、より迅速に調査開始するための支援をするとのこと。

TRMグローバル調査チームの一員で「Chainabuse」のチーフアーキテクトの1人ジョー・マッギル(Joe McGill)氏は、次のようにコメントしていいる。

「最近の多くの攻撃や悪意のある活動において、私たちはすでに、暗号資産コミュニティが一丸となって悪質業者を排除し、互いを保護する潜在能力を確認しています。Chainabuseは、より多くの人々がこの文化の発展に積極的な役割を果たし、コミュニティの精神が暗号資産の最も強力な特性の1つであり続けることを確実にするために設計されました」

サークルの最高コンプライアンス・リスク責任者マンディープ・ワリア(Mandeep Walia)氏は、次のようにコメントしている。
「Chainabuseは、暗号資産コミュニティ全体の分散した取り組みを集約したビューを活用することで、当社のコンプライアンス監視プログラムの深さと有効性を大幅に向上させます」

Binance.USの最高コンプライアンス責任者タミー・ワインリブ(Tammy Weinrib)氏は、次のようにコメントしている。
「デジタル経済が拡大し続ける中、暗号資産コミュニティが規制された取引所と協力し、不正行為や詐欺を報告する力を与えるChainabuseのようなソリューションが不可欠です。規制された取引所の主な目標の1つは、より広いコミュニティの中で信頼を育むことであり、これはその信頼を強化し続けるための大きな前進であると信じています」

参考:TRM Labs
デザイン:一本寿和
images:iStocks/Thinkhubstudio

この記事の著者・インタビューイ

竹田匡宏

兵庫県西宮市出身、早稲田大学人間科学部卒業。 「あたらしい経済」の編集者・記者。