中部アフリカ規制当局が加盟各国へ暗号資産禁止令を再度通知
中部アフリカ地域の銀行規制当局が加盟各国に対し、暗号資産(仮想通貨)禁止について再度通告をした。加盟国の中央アフリカがビットコイン(BTC)を法定通貨とした約2週間後となる5月13日に通告された。
中部アフリカ金融委員会(COBAC)は中央アフリカをはじめ、カメルーン、チャド、ギニア、ガボン、コンゴ共和国の6ヵ国からなる中部アフリカ経済通貨共同体(CEMAC)の銀行セクターを規制している。
COBACはこの暗号資産禁止令について、金融の安定を確保するためのものであると述べている。
今回の発表は、アルゴリズム型ステーブルコインのテラUSD:TerraUSD(UST)の崩壊が市場に波及し、暗号資産全体が13日に大きな損失を被ったことを受けたものである。USTの崩壊とは9日に発生した、1ドル=1USTの価格維持をするはずのテラネットワークの仕組みが維持できなくなった事案によるものだ。
中央アフリカ共和国の大統領府は4月27日、ビットコインを法定通貨にしたことを発表した。エルサルバドル共和国に次いで2ヵ国目のビットコイン法定通貨化の事例となった。
中央アフリカのこの発表当時、アナリストやクリプト(暗号資産・ブロックチェーンの総称)の専門家は、インターネット利用が少なく、紛争が蔓延し、かつ電力が不安定な世界最貧国の1つであるこの国の動きに困惑していると述べていた。
中央アフリカ政府は、ビットコイン法定通貨化の理由についてほぼ詳細を説明しておらず、実施について疑問が残っている。
ロイターは13日、中央アフリカの政府報道官であるセルジュ・ギスラン・ジョリー(Serge Ghislain Djorie)氏に電話。同氏はロイターに対し「中央アフリカ共和国はCOBACから暗号資産禁止に関する正式な通告を受けていないが、新聞やSNSでそのニュースは確認している」とコメントした。
またジョリー氏は「私たちは、文書が正式に送付されるのを待って対応することにしています。各国家に主権があることは理解する必要がある」と述べた。
COBACは「5月6日に特別会議を開いて中部アフリカ地域における暗号資産の影響を検討した」と、13日に声明を出している。
また併せて「金融の安定を保証し、顧客の預金を保護するために、COBACはCEMACにおける暗号資産の使用に関連する特定の禁止事項を再度通告した」と述べられている。
禁止事項には「あらゆる暗号資産の保有と交換」、「暗号資産に関連する取引の変換や決済」、「資産や負債の評価手段としての暗号資産の使用」が含まれている。
さらに「COBACは、『暗号資産に関連する業務を特定し報告するシステム』の構築目的など、多くの措置を講じることを決定した」とも付け加えられている。
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※この記事は「あたらしい経済」がロイターからライセンスを受けて編集加筆したものです。
Central African bank regulator reminds states of crypto ban
Reporting by Mahamat Ramadane; Additional reporting by Judicael Yongo in Bangui; Writing by Nellie PeytonEditing by Bate Felix, Andrew Heavens and Richard Chang
翻訳:大津賀新也(あたらしい経済)
images:Reuters