富士通とIHIがCO2削減量をトークン化し市場流通へ
富士通と総合重工業グループのIHIが、CO2削減量をブロックチェーン技術で環境価値としてトークン化して市場流通させる共同事業を開始したことが4月12日分かった。
この共同事業プロジェクトは、企業や国を超えた効率的なCO2削減量などの環境価値取引市場に対し、両社の持つブロックチェーン技術やカーボンニュートラル関連技術に基づくビジネス知見を活用した環境価値流通プラットフォームの市場適用と活性化に向けて取り組むもので、4月1日より開始しているとのことだ。
この事業にはIHIのIoT基盤「ILIPS」(アイリップス/IHI group Lifecycle Partner System)と同社が2月に発表した、ブロックチェーン技術活用の「環境価値管理プラットフォーム」、富士通のブロックチェーン技術「ConnectionChain」が利用されている。
IHIの「環境価値管理プラットフォーム」は、「ILIPS」のクラウド上に蓄積された稼働データより算出したCO2の排出量と削減量を記録・見える化し、環境価値に変換して外部市場に流通させる仕組みだ。このプラットフォームによって創出したCO2削減量は、スマートコントラクトにより環境価値としてトークン(デジタル証明書)化し、外部へ連携する機能が実装されているという。
また富士通の「ConnectionChain」はブロックチェーンなどにより構成された複数の異なるエコシステムを相互接続するブロックチェーン技術となっている。
今回の共同事業プロジェクトでは、IHIの「環境価値管理プラットフォーム」によりトークン化した環境価値(CO2削減量)を「ConnectionChain」を活用して環境価値取引市場に流通させるプラットフォームを構築し、効率的な環境価値の流通を目指すとしている。
なお両社は3月末に、「ILIPS」と「ConnectionChain」を連携させた環境価値取引市場へトークンを流通させる実証実験を実施・完了しており、この結果をふまえ今回の共同事業プロジェクトを本格的に開始したとしている。
またIHIの「環境価値管理プラットフォーム」にはエンタープライズ向けブロックチェーン基盤のクオーラム(Quorum)が採用されており、富士通の「ConnectionChain」には、複数のブロックチェーンプロジェクト間における安全で信頼性の高い統合を実現するためのオープンソースソフトウェア(OSS)「Hyperledger Cactus」が利用されている。
今後両社は2022年度中の環境価値流通プラットフォームの実現を目指すとともに、この取り組みに賛同したパートナー企業や関係省庁、団体などとの議論や実証事業なども進め、ビジネスの具体化とカーボンニュートラルの実現に貢献すると述べている。
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参考:富士通
デザイン:一本寿和
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