NFT画像消失を防ぐ「Pinned」、アナザーボールがローンチ
アナザーボール(AnotherBall)が、NFTコレクター向けツール「Pinned」を4月12日に公開した。「Pinned」はNFTの画像消失を防ぐサービスで、「NFTの画像をPinして守る」というのがサービス名の由来とのことだ。
具体的には、NFTの画像消失リスクを軽減するため、分散型ファイリングシステム「IPFS」に対応するNFTを対象に保護するサービスだ。
NFTの画像消失とは、NFTに紐づいた画像や関連データを保存するための運用費用が支払われなくなり、NFTに紐づいた画像等が表示されなくなる状況を指す。
アナザーボールの創業者は、大湯俊介氏だ。大湯氏はママ向けコミュニティアプリ「ママリ」を運営するコネヒトを創業し、2016年にKDDIグループにM&Aした実績を持つシリアルアントレプレナー。
ちなみに「Pinned」の公開は、同氏のツイートによって明らかになった。
「Pinned」を開発した背景について、同氏は「半年前からNFTをごりごり研究しておりまして、その過程でコレクターは今後も増えるだろう。だけど、詐欺や予期せぬトラブルも激増するだろうなぁというのをひしひしと感じていました」とツイートで説明している。
現在「Pinned」の対応チェーンは、イーサリアムのみ。機能としては画像およびメタデータの保存に特化しているとのことだ。
ちなみにNFTの検索やフィルタ機能は、近日中に提供する予定とのこと。なおアナザーボールの主事業は、海外向けのエンタメ領域で2021年売上実績で外貨比率が95%だという。
また今後、アナザーボールは有力なプロトコルと連携し「Pinned」対応ブロックチェーンの数を増やし、より強固なストレージシステムを構築していくことを検討しているという。
アナザーボール創業者の大湯俊介氏へ取材
「あたらしい経済」編集部はアナザーボール(AnotherBall)創業者の大湯俊介氏へ取材を行った。
−−「Pinned」とアナザーボールの今後について、具体的に説明していただけますでしょうか?
実はPinnedは、社内で”とあるプロジェクト”を進める中の気付きから生まれたプロジェクトです。
多くのNFTコレクターやブロックチェーンの技術者と話す中、「これらの技術がマスアダプションしていくためには、数えきれない壁があるよね」という声を多く聞きました。
そのうちの一つが「安全・安心」で、Pinnedではその一端に焦点を当てたプロジェクトです。
まずは「1人で便利」というのを実現するために、コアなユースケースに絞っているので、今後少しずつ利用シーンを増やせるように模索していけたらと思っています。
また社としては、エンタテインメント領域で準備している企画もあり、また遠からずお知らせできたらいいなと思っています。
−−今後のNFT市場の動向について、大湯氏の考えを教えていただけますでしょうか?
基本的には長期的にはポジティブな展望をもっています。 その値動きが取り沙汰されることが多いNFTですが、私自身は「NFT自体はあくまで手段」だと考えています。
語弊を恐れずざっくり言えば、企画の周囲にあるコミュニティに価値が根ざしており、それらの能動性を引き出すための便利な媒介がNFT、そんな印象です。
自身でも海外プロジェクトに購入を通じて参加してみたり、未公開の企画のコントリビューターになり、久々に大波がきたなと感じています。
短期の価格動向はわかりませんが、その観点でも「作り手にとっての大波」であることは間違いないので、是非みなさんも一緒にモノづくりをやっていましょう!
NFTとは
「NFT(Non Fungible Token:ノンファンジブル・トークン)」とは、代替が不可能なブロックチェーン上で発行されたトークンを指す。
NFTの規格で発行されたトークンは、そのトークン1つ1つで個別の価値を持つ。そのためNFTを画像や映像などのデジタルデータと紐付けることで、デジタルデータの個別の価値を表現することに活用されている。
なおNFTという言葉は現在幅広く活用されており、活用するブロックチェーンやマーケットプレイスの種類によって、その機能や表現できる価値が異なる可能性があることには留意が必要だ。
参考:Pinned
images:iStocks/whitehoune・shironosov
デザイン:一本寿和