豪大手銀行ANZ、ステーブルコイン「A$DC」取引実施
オーストラリアの4大銀行であるオーストラリア・ニュージーランド銀行(ANZ)が、約27億円(3000万豪ドル)のステーブルコイン取引を実施したことが3月24日に分かった。
発行したステーブルコインの名称は「A$DC」。 ANZがイーサリアムのスマートコントラクトを作成し、ブロックチェーンインフラ開発企業の米ファイヤーブロックス(Fireblocks)の技術を活用し、パブリックブロックチェーンを介してデプロイしたとのことだ。
スマートコントラクトの安全性などを担保するための監査は、オープンゼッペリン(OpenZeppelin)が務めた。また取引モニタリングにはチェイナリシス(Chaynalisys)のツールを活用したとのことだ。
「A$DC」発行の経緯には、現在主流の米ドルステーブルコインである「USDC」の取引プロセスが複雑化していることにあるよう。ANZはその状況を踏まえ、「A$DC」を活用して、取引プロセスをよりシンプルなものにしたとしている。 具体的には銀行口座と法定通貨の取引プロセスをすべて回避し、ANZをエンドツーエンド(E2E)で取引できるようにしたという。
ちなみに取引時間は約5分とのこと。そして「A$DC」を活用したことで「USDC」の取引コストと為替リスクを負う必要がなくなったという。
今回の「A$DC」を活用した取引は、投資ファンドであるビクタースモーゴングループ(Victor Smorgon Group)の暗号資産(仮想通貨)取引所「ゼロキャップ(Zerocap)」への支払いで行われた。
なおANZは顧客が中央銀行デジタル通貨(CBDC)への関心が高まっていることにも言及。現在CBDCは決済分野、特にリテールレベルでの応用に焦点が当てられおり、機関投資家向けのステーブルコイン「A$DC」は、競合にならないとリリースで説明している。
今後ANZはさまざまなデジタル資産が取引できるようにサービスを発展させていく予定のようだ。
参考:ANZ
images:iStocks/NilsBV・shironosov
デザイン:一本寿和