【取材】コインチェックが米ナスダックへ上場方針発表、SPACで2022年内に

コインチェックが米ナスダックへ上場方針発表、SPACで2022年内に

暗号資産(仮想通貨)取引所などを運営するコインチェック(Coincheck)が、米国のベンチャー向け株式市場ナスダック(NASDAQ)への上場方針を示したことが3月22日に分かった。

この方針はコインチェックの親会社マネックスグループが、3月22日に開催した取締役会にて決議されたとのことだ。

具体的には、コインチェックの持株会社となる予定のCoincheck Group B.V.(CCG)と、ナスダックに上場している特別買収目的会社(SPAC)であるThunder Bridge Capital Partners IV, Inc.(THCP)等との間で事業統合契約(Business Combination Agreement)を締結し、CCGがナスダック上場を目指すことが決議されたとのことだ。

CCGの本拠地はオランダで、2022年2月18日に設立されている。この取引はSimpson Thacher&Bartlett LLP及びアンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業がリーガルアドバイザーを務め、J.P. Morgan Securities LLCがフィナンシャルアドバイザーを務めた。

なおCCGは、2022年内を目途にティッカーシンボル「CNCK」としてナスダックへ上場予定とのことだ。

ナスダックへの上場方針を決議した理由について、マネックスグループのリリースでは次のように説明されている。

「当社とコインチェックがさらに大きな成長を遂げるには、ブロックチェーン・暗号資産・NFTの領域において世界戦略を推進することが肝要と判断したことから、当社グループは、コインチェックの持株会社となる予定のCCGを設立し、米国SPACであるTHCPとの統合(De-SPAC) により、CCGを米国株式市場であるNASDAQに上場させることを目指すこととしました。今後は、THCPと協働して、世界最大の資本市場を有する米国において資本を確保の上、グローバルに人材を採用し、世界戦略を実現し、コインチェックを次のステージに引き上げてまいります」

ちなみにこの取引前のCCGの株式評価額は、当初対価としての約1,500億円(約12.5億米ドル) に加え、 取引後一定の条件を満たせば追加でCCG株式5千万株を取得できる対価の調整(アーンアウト)の合意がなされているとのことだ。

そして対価の調整分は約600億円(5億米ドル) と評価されているようだ。 この取引後もCCGはマネックスグループの連結子会社に留まり、コインチェックはCCGの100%子会社となる。またコインチェック及びCCGの成長戦略は、引き続き、マネックスグループ戦略上重要な位置付けにあるとのことだ。

THCPのPresident兼CEOゲイリー・シマンソン(Gary Simanson)氏は次のようにコメントしている。

「私は、松本大氏と彼のキャリアにおける実績を深く尊敬しています。彼はこれまでも金融サービス業界のリーダーであり、先駆者でした。 私たちは、マネックスグループと協力してCCGを上場させ、コインチェックを次のステージへ成長させること、そしてそれにより日本の暗号資産業界を個人投資家及び機関投資家のためにより良いものにしていけることに大いに興奮しています。それに加え、私たちは、 松本大氏と共にCCGの名のもとにグローバルなデジタルプラットフォームを構築できることをとても嬉しく思っています。この事業連携と持株会社体制は、これらすべてを可能にするものです」

加筆:3月22日19時45分

あたらしい経済編集部は、コインチェックの広報担当者へ取材を行った。

−−いつ頃からDe-SPACでナスダック上場を検討されていたのでしょうか?

マネックスグループ入り後から暗号資産の社会的地位の向上のためには上場会社となってPermanent Capitalを得るのが良いという方針でした。具体的には、通期で黒字化を達成したあたりから様々な方法をMGとともに検討してきました。元々暗号資産やNFTも、最近開始したOasis TOKYOなどのメタバース分野も国境がないく、世界的にブランドを認知していく戦略の方がコインチェックにとっても成長できると考え、今回のこのような取引を選択しました。

コインチェックとしては、これまで通り国内の暗号資産業界のリーディングポジションを堅持していくつもりですが、将来的にコインチェックはCCGの子会社となるため、新規事業の開発や最新技術への投資等でCCGと連携を図り、更なる成長を目指します。

−−他社と比較した上で、このグローバル戦略においてもっとも重要になる要素はなんだと考えていますか?

グローバル戦略に関しましては米国の開示ルールの都合上、現時点では非公開とさせていただきます。今後投資家を集うようなタイミングに来たら改めて開示いたします。

参考:マネックスグループ
デザイン:一本寿和
images:iStocks/Максим-Ивасюк・Thinkhubstudio

この記事の著者・インタビューイ

竹田匡宏

兵庫県西宮市出身、早稲田大学人間科学部卒業。 「あたらしい経済」の編集者・記者。