野村証券と丸井グループ、自己募集型デジタル債発行で協業。セキュリタイズ活用

野村証券と丸井グループ、自己募集型デジタル債発行で協業。

野村證券と丸井グループが、公募自己募集型デジタル債の発行について協業したことが3月8日に分かった。両社はデジタル証券企業のセキュリタイズ(Securitize)が提供するプラットフォームを活用したセキュリティトークン(ST:証券トークン)を発行する予定だ。

なお今回のセキュリティトークン発行のポイントは、証券会社の野村證券が販売するのではなく、事業会社の丸井グループが販売することにある。

野村證券、丸井グループおよびセキュリタイズは、既存の個人向け公募社債活用のさまざまなハードルを乗り越える新たな付加価値を提供するために連携したとしている。

ちなみに丸井グループは個人向け公募社債活用なハードルとして「社債の発行会社が投資家(保有者)を把握することが難しい、金銭による利払い以外の方法での利払いが困難である、発行会社が直接投資家へ利払いすることができない、各社債の金額を小口化すると管理コストがかかる」という点を認識してきたという。

なお3社は今回ブロックチェーン活用したプラットフォームを用いて、発行会社による投資家の把握、金銭による利払い、発行会社が保有するシステムと接続し特定の投資家層へ社債の販売、一般的な株式や既存の個人向け社債と比較した金額の小口化、を実現していくという。

この仕組みを活用することで、発行会社は自社の顧客(ユーザーやファン)から資金を調達し、発行会社と顧客がダイレクトにコミュニケーションを行うことを通じて「エンゲージメント強化を狙ったマーケティング」といった新しい効果を期待できるという。

また3社は一般の投資未経験者に対する「身近でわかりやすい共感型の投資機会」の提供を通じた社会貢献にも繋がることも期待しているようだ。

なおこの公募社債の発行に向けた3社の役割は以下の通りだ。

丸井グループ
・販売対象者の特定やポイントによる利払いのための連携システムの構築
・銀行口座引き落としスキームの構築

野村證券
・本公募社債発行のフィナンシャルアドバイザー
・発行会社に対し、セキュリティ・トークンを発行す るプラットフォームの提供

Securitize
・プラットフォームの開発・保守 
・発行会社との連携システムの構築

参考:セキュリタイズ
images:iStocks/royyimzy・shironosov
デザイン:一本寿和

この記事の著者・インタビューイ

竹田匡宏

兵庫県西宮市出身、早稲田大学人間科学部卒業。 「あたらしい経済」の編集者・記者。