バイナンスがロシアで発行されたMastercardとVisaの利用を停止に
大手暗号資産(仮想通貨)取引所バイナンス(Binance)で、ロシアで発行されたマスターカード(Mastercard)とビザ(Visa)のカードが利用できなくなることが3月8日分かった。
カードの利用停止は、マスターカードとビザによる決定のもと実施され、3月9日21時(UTC:世界協定時)より利用停止になるとのことだ。
このことはロシアのウクライナ侵攻を受け、米カード最大手であるビザと2位のマスターカードが、ロシアでの事業を停止することに関連するものだ。
ロシア国内で発行されたカードは同国内および国外問わず利用できなくなり、またロシア国外で発行された両ブランドのカードについても同国内で利用できなくなった。またそれに続きJCBも8日に足並みをそろえ、ロシアでの事業を停止している。
先月2月27日に、ウクライナのデジタルトランスフォーメーション大臣ミハイロ・フェドロフ(Mykhailo Fedorov)氏がツイッターで、主要暗号資産取引所に対し、ロシア人ユーザーのアドレスを凍結するよう呼び掛けていた。
それに対し、クラーケンのCEOジェシー・パウエル(Jesse Powell)氏は、法的措置がない限りロシア人のアカウントの凍結は行わないと表明し、暗号資産が国家に左右されない技術であることを強調。
またバイナンス(Binance)やコインベース(Coinbase)も制裁対象となる個人や団体以外のアカウントの凍結は行わないことを表明していた。
バイナンスの創業者兼CEOであるCZ(Changpeng Zhao)氏は、今回のマスターカードとビザによる決定について、「これは私たちの手に負えません。私たちの決定ではありません」とツイートしている。
なおバイナンスはロシア軍によるウクライナ侵攻をうけ、バイナンスの慈善団体「バイナンスチャリティ財団(Blockchain Charity Foundation)」より、ウクライナの人道的危機支援のために約11億5,000万円(1,000万ドル)を寄付することを2月28日に発表した。
寄付金はユニセフ、UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)、国連難民局、iSans(International Strategic Action Network)、People in Needなど、既に現地にいる主要な政府間組織や非営利団体に分配され、ウクライナとその近隣諸国にいる避難した子供や家族を支援するために使用されるとしている。
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参考:バイナンス
デザイン:一本寿和
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