三菱UFJ信託が日本円連動型ステーブルコイン発表
三菱UFJ信託銀行が日本円連動型のステーブルコイン「Progmat Coin(プログマコイン)」発行について2月9日正式に発表した。ブロックチェーンと受益証券発行信託スキームを組み合わせたステーブルコインとなるとのこと。
受益証券発行信託とは、「受益権を表示する有価証券(受益証券)を発行する信託」のこと。どのようなアセット(資産)でも信託(契約を他者に委託)して有価証券(受益証券)にすることで、取引や流通を容易にできる。
なお「Progmat Coin」で採用しているブロックチェーン基盤は、昨年3月より三菱UFJ信託銀行が提供しているSTO(セキュリティトークンオファリング)プラットフォーム「Progmat(プログマ)」と同じく、エンタープライズ向けブロックチェーン基盤「Corda(コルダ)」が採用されていると思われる。
発表によると「Progmat Coin」は1coin=1円で価値が固定されるステーブルコインで、「デジタルアセット領域におけるユニバーサルな資金決済手段」となることを目標にしているという。なお「電子的支払手段」に係る法制化内容(新法制)に準拠する形式をとるため、暗号資産には該当しないようだ。
主に「Progmat Coin」は小売り向けに提供されるものでなく、「Progmat」上で発行されるST(セキュリティトークン)や、その他のST基盤上で発行されるST、NFTや暗号資産についての即時グロス決済への利用を想定しているとのこと。
また「Progmat Coin」は、中央銀行デジタル通貨(CBDC)や他のステーブルコイン等の決済手段とのシームレスな交換を可能にする仕組みも整備していくという。
三菱UFJ信託銀行は新法制施行時期に合わせ、「Progmat Coin」発行を目指すとしている。
また上記のような目標の他、同行は「Progmat Coin」について広範な事業者のネットワーク直接参加を想定し、「Progmat Coin」発行用信託の受託者向け機能を提供する他、様々な仲介事業者が提供する日常チャネルへのプログラム組み込み(Embedded Finance:埋込型金融)も可能な「開かれた基盤」とすることも目標しているとのこと。
「Progmat Coin」は受益証券発行信託スキームを用いることで、「発行者規制」「仲介者規制」といった新法制に準拠した仕組みとなる。また「Progmat Coin」の裏付となる法定通貨は全て信託財産となり、「Progmat Coin」提供者(発行者・仲介者)の倒産リスクから隔離され、常に全額償還請求が可能となり、「Progmat Coin」利用者の権利が保全されるとのことだ。
三菱UFJ信託銀行は「Progmat Coin」提供を目指し、2019年に設立した「ST研究コンソーシアム(SRC)」を「デジタルアセット共創コンソーシアム(DCC)」に改組すると共に、「資金決済ワーキング・グループ(資金決済WG)」を設置するとしている。
関連ニュース
三井物産デジタルアセットマネジメント、三菱UFJ信託銀行、SBI証券がセキュリティトークンの公募ファンドで協業
大手金融機関らの証券トークン(ST)研究コンソーシアム、第2期ワーキンググループ発足
三菱UFJ信託、野村、SBI、ケネディクス、資産裏付型STOで協業
参考:三菱UFJ信託・コンセプトペーパー
デザイン:一本寿和
images:iStocks/Who_I_am・Ninja Studio