東レとソラミツ、リサイクルポリエステルのトレーサビリティシステム共同開発へ
東レがソラミツと協働し、ブロックチェーンを活用したトレーサビリティシステム構築に向けた実証実験を2022年度中に開始することが1月24日分かった。製品の回収・再利用などによる素材の循環を可視化・透明化し、循環型社会のさらなる進展への貢献を目指すとのこと。
発表によると今回の実証実験は、東レが2019年に立ち上げた回収ペットボトルを原料として再利用するリサイクルポリエステル繊維事業のブランド「&+(アンドプラス)」で行っていくとのこと。
実証実験では、サプライチェーン上の企業と連携しながら基本システム構築に向けた課題整理を進める他、回収された原材料が再び製品になり消費者に届くまで循環するサプライチェーン情報の見える化やその見せ方、東レ製品の顧客が本システムを自社のトレーサビリティ管理に必要な情報として使いやすくするための仕組みについても検証を行うとしている。
またリサイクル工程に要したエネルギー量や、消費者が東レ製品を使用することでどれだけ環境負荷の低減につながっているかといった情報の見える化なども検証するとしている。
東レはこの実証実験の結果をもとに、基本システムを構築し、適応範囲の拡大の可能性について検証を進めるとしており、将来は樹脂やフィルムなど、全ての主要ポリマーを対象に本システムの適用を図るとしている。
この取り組みにより東レは、ブロックチェーンを活用したサプライチェーンを確立し、製造から最終製品の流通、回収、再利用までの完全な循環トレーサビリティを提供するとのことだ。
このような資源循環への取り組みへのブロックチェーンの採用は、国内でいくつもの事例が動き出している。
昨年4月には、日本IBMと三井化学が、ブロックチェーン技術を活用したプラスチック資源循環プラットフォーム構築に向けて協働を開始。同5月には旭化成がブロックチェーン技術活用の資源循環社会の実現に向けたデジタルプラットフォームの構築を目指し、こちらも日本IBMと2022年3月末までに実証実験を開始すると発表している。
また三井化学、日本IBM、野村総合研究所(NRI)の3社は昨年8月に、ブロックチェーン技術を活用した資源循環プラットフォーム構築のためにコンソーシアム設立の合意を発表している。
このコンソーシアム設立の目的は具体的に「1.トレーサビリティを基盤とした、プラスチックリサイクル材の利用促進、2.資源循環に関するステークホルダー間の連携支援、3.資源循環に貢献した人や企業へのインセンティブ制度構築」の3つがあげられている。
また今回東レと協働するソラミツは、同社開発オープンソースのブロックチェーン「Hyperledger Iroha」の技術を利用して、カンボジアの中央銀行デジタル通貨(CBDC)「バコン」を開発した企業だ。昨年12月にはフィジー、ソロモン諸島、トンガ、バヌアツの4ヵ国ともCBDC発行について検討していることを発表している。
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参考:東レ
デザイン:一本寿和
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