【取材】クラーケン、ステーキングサービス提供のステイクド買収

クラーケン、ステイクド買収

暗号資産(仮想通貨)取引所を運営する米クラーケン(Kraken)が、ステーキングプラットフォーム提供のステイクド(Staked)を買収したことが12月21日に分かった。なお金額は非公開。

しかし発表によれば今回の買収は、これまでの暗号資産業界において最大の取引の1つになったとのことだ。

そしてこの買収によってクラーケンは、サポートするネットワークの数が増え、既存のカストディアル・ステーキング・サービスに代わるノンカストディアル・ステーキング・サービスが可能になったとしている。

現在、クラーケンのスポット、マージン、先物を合わせた取引量は、2021年に430%以上増加しており、またステーキングビジネスは950%以上成長し、11月には約160億ドルに達しているとのことだ。

クラーケンCEO兼共同創設者であるジョシ・パウエル(Jesse Powell)氏は次のようにコメントしている。

「暗号資産投資家の増加により大きな支持を得ているステイクドを、当社の利回り商品のポートフォリオに加えることができ、大変うれしく思います。ステイクドは当社の既存のステーキングビジネスを高度に補完するものであり、ステーキングされた資産の保管を希望する顧客のために世界クラスのインフラを通じて当社の商品提供をさらに強化することができます。ステイクドの顧客をクラーケンに迎えることができ、デジタル資産との関わりを広げようとする顧客が当社の幅広いプロダクトポートフォリオにアクセスすることで利益を得られると信じています。またステーキングビジネスの成功は、クラーケンがカストディアンや取引所をはるかに超える存在に進化したことを示しています。私たちは、個人、専門家、機関投資家の顧客のニーズに応える多様なプロダクトを持つ総合的な暗号資産プラットフォームとなりました。当社の歴史の中で第2の10年に向かって、私は将来とクラーケンのWeb3とDeFiへの世界のシフトを継続的にサポートすることに興奮しています」

またステイクドのCEOであるティム・オギルビー(Tim Ogilvie)氏は次のようにコメントしている。

「クラーケンによるステークドの買収は、私たちにとってエキサイティングで新たな幕開けを意味しています。クラーケンとは、PoSサポート、セキュリティファーストの考え方、顧客体験への揺るぎないフォーカスといった当社のコミットメントを明確に共有しており、理想的なパートナーです。

両社の事業を統合することで、よりシームレスな体験を提供し、ステーキングやそれ以外の分野での顧客のニーズに応えるプロダクト提供を拡大することが可能になります」

あたらしい経済編集部はクラーケン・ジャパン代表の千野剛司氏へ取材を行った。

クラーケン・ジャパン代表の千野剛司氏へ取材

−いまユーザーのために、暗号資産取引所が最も必要だと考える事業ファクターは何だとお考えでしょう?

最先端のブロックチェーン技術とユーザビリティのバランスが大事だと考えています。例えばステーキングに関して言うと、ステーキングを取引所を経由せずに個人で行うことは難しいものです。ユーザーが自分自身で(バリデーターの)ノードを立ち上げて管理・維持するのはハードルが高く、仮想通貨のインフラに関する深い知識が必要です。ステーキングを安心して簡単に行うために取引所の存在は重要だと考えています。

−今後、日本におけるステーキングの展開はあるのでしょうか?

ステーキングの分野は、来年以降における日本の重点分野の一つでもあります。クラーケン・ジャパンは、現時点では国内のどの取引所も取り扱っていない銘柄において、来年の早い時期にステーキングを開始できるように調整を進めています。

参考:クラーケン
デザイン:一本寿和
images:iStocks/Serhii-Yakovliev・Lidiia-Moor

この記事の著者・インタビューイ

竹田匡宏

兵庫県西宮市出身、早稲田大学人間科学部卒業。 「あたらしい経済」の編集者・記者。