コンセンシスとマスターカード、イーサリアム関連のサービス提供へ

コンセンシスとマスターカード、イーサリアム関連のサービス提供へ

コンセンシス(ConsenSys)とマスターカード(Mastercard)が共同で、ソフトウェアソリューション「ConsenSys Rollups」を開発したことを12月16日に発表した。

「ConsenSys Rollups」とは「Ethereum Virtual Machine(EVM)」対応のあらゆるブロックチェーンに接続可能なスケーラビリティとプライバシー機能の提供に焦点を当てたモジュール式ソフトウェアソリューションであると発表されている。具体的にはイーサリアムのメインネットや「ConsenSys Quorum」のプライベートネットワークで使用することができるようだ。

また「ConsenSys Rollups」は、ゼロ知識証明を活用して、口座残高、送金者、受取人、金額などの特定の取引要素を保護し、重要な取引データがネットワーク上で公に共有されないようにし、取引のプライバシーと機密性を大幅に向上させることを可能にしているようだ。

スケーラビリティの観点では、現在のプライベートチェーンでは300TPS(Transaction Per Second)、イーサリアムメインネットでは15TPSであるのに対し「ConsenSys Rollups」では最大1万TPSのスループットを達成することが可能とのことだ。

そして発表では「ConsenSys Rollups」の具体的なユースケースとして中央銀行デジタル通貨(CBDC)、分散型取引所(DEX)、少額決済(Micropayments)、個人送金と税務処理(Private transfer and taxes)が挙げられている。

コンセンシスのプロトコルエンジニアリング担当グローバルリードであるマデリン・マレイ(Madeline Murray)氏は次のようにコメントしている。

「ConsenSys Rollupsは、既存のユースケースのソリューションの強化と新しいユースケースの実現に向け、強力なプライバシー保護に加え、大幅なスケーラビリティを実現します。この革新的なソリューションは、未来の金融の構築を加速させるでしょう」

マスターカードのデジタルアセットおよびブロックチェーンプロダクト・パートナーシップ担当上級副社長であるラジ・ダモダラン(Raj Dhamodharan)氏は次のようにコメントしている。

「現実世界の問題解決に貢献するブロックチェーン技術には真の可能性があると信じています。プライバシーを含む消費者保護と拡張性の高いインフラは、私たちが構築するブロックチェーンソリューションの主要な要件です。コンセンシスとの協力は、そのニーズを満たし、この分野を発展させるための重要なステップとなります」

コンセンシスは今年の4月にマスターカードらから約71億円の資金調達を行い、協業を開始している。

現在ゼロ知識証明を活用したレイヤー2のスケーリングソリューション「Roll-up」関連のサービス提供は、2022年注目を集めていく領域だろう。

参考:コンセンシス
デザイン:一本寿和
images:iStocks/agsandrew

この記事の著者・インタビューイ

竹田匡宏

兵庫県西宮市出身、早稲田大学人間科学部卒業。 「あたらしい経済」の編集者・記者。