【取材】教育格差解決にブロックチェーン、IGSがさいたま市と三重県中高で。基盤にステラ採用

IGSがブロックチェーン活用の広告モデル「ONGAESHI」を実証実験

都内EdTech(教育×テクノロジー)企業インスティテューション・フォー・ア・グローバル・ソサエティ(Institution for a Global Society:IGS)が、ブロックチェーンを活用したオンライン教材の広告モデルの実証実験を12月より開始することが分かった。

この広告モデルを利用することで、企業の広告出稿費の一部が教材の費用として配分できる。これにより経済格差によって教育格差が広がる問題に対し取り組むという。

広告出稿企業には大塚製薬、河合塾グループ、セガ、 三井住友信託銀行が参加し、博報堂DYメディアパートナーズが広告モデルへのアドバイザーとして参加する。また、さいたま市教育委員会と三重県教育委員会と連携し、両県の中学校および高校にて実証が行われる。

今回実証実験が行われる広告モデル「ONGAESHI」では、広告出稿企業が出稿費としてトークンを支払い、オンライン教材や教育情報サイトへ広告をアップする。それを閲覧した生徒や保護者が報酬としてトークンを得ることで、それを学校用教材や個人用教材の購入に充てることが出来るという。

また一般の社会人が参加した場合には、自らの教材の他、指定した地域の学校へ教材を提供することもできるとのことだ。

また閲覧される広告は、閲覧者が提供を許可した個人情報に基づき配信される仕組みだ。閲覧者が登録した情報はブロックチェーン上で管理することで秘匿化され本人のみが閲覧できるとのことだ。

IGSはこの広告モデルについて「学校やご家庭の教育資金の不安を減らし、すべての子どもたちに教育機会を増やすことを目指して構築している」と説明している。

なおこの広告モデル「ONGAESHI」は、「データ利活用による教育DXの原資創出システム」として経済産業省の2021年度「未来の教室」の実証事業として採択されている。

Institution for a Global Society担当者へ取材

あたらしい経済編集部はInstitution for a Global Societyの広報担当者へ以下の質問を行った。

–「ONGAESHI」に採用されているブロックチェーン基盤は何でしょうか?

ステラのブロックチェーンを採用しております。

–実証実験の期間はいつまででしょうか?

12月1日から来年1月31日までです。

–対象となる学校は何校でしょうか?

さいたま市と三重県の中学校と高校を対象に併せて10校ほどとなっております。

–広告はどの程度で表示されるのでしょうか?

学ぶ際の邪魔にならない頻度で表示させています。

編集部のコメント

「ONGAESHI」で表示される広告では、閲覧した分だけトークンを得ることが出来るという。また反対に教材を進めていかなければトークンは得られない。学んで稼いで教材を購入し、また学ぶという、努力をすれば学び続けられる持続的な仕組みであるといえる。

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参考:IGS
デザイン:一本寿和
images:iStocks/metamorworks・Stanislav-Vostrikov

この記事の著者・インタビューイ

大津賀新也

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者 ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。