「ビットコインシティ」建設発表、エルサルバドルが10億ドル相当の債券発行へ

「ビットコインシティ」建設発表、エルサルバドルが10億ドル相当の債券発行へ

エルサルバドルが世界初の「ビットコイン・シティ」の建設を計画しており、当初はビットコイン担保付き債券で資金調達すると、同国のナジブ・ブケレ大統領が11月20日に発表した。

ブケレ大統領は、エルサルバドルで1週間にわたって行われたビットコインに関するイベントで「東部のラ・ユニオン地域に計画されている都市は、火山からの地熱発電を利用し、物やサービスの購買時に課せられる間接税である付加価値税(VAT)以外の税金は一切課さない」と発言した。

ブケレ氏は、ビーチリゾートであるミザタで、白いシャツを着て逆さの野球帽をかぶり、英語で「ここに投資して、好きなだけお金を稼いでください。ここは完全にエコロジカルな都市で、火山からエネルギーを得て、機能しています」と語った。

ブケレ氏は、課税されたVATの半分は都市建設のために発行された債券に充て、残りの半分はゴミ収集などのサービスに充てるとし、公共インフラにかかる費用は約30万BTCと見積もっているようだ。

エルサルバドルは9月、世界で初めてビットコインを法定通貨として採用した。

ブケレ氏は人気のある大統領だが、世論調査によると、エルサルバドル国民は彼のビットコインへの愛に懐疑的でもある。当初同国でのビットコインの導入がうまくいかなかったため、政府に対する抗議活動が活発化している。

ブケレ氏は、自分の計画をアレキサンダー大王が建設した都市になぞらえ、「ビットコイン・シティは円形で、空港、住宅地、商業地があり、中央の広場は上空から見るとビットコインのシンボルのようにデザインされる」と述べた。

「ビットコインを世界に広めたいなら、アレクサンドリアをいくつか作るべきだ」とテクノロジーに精通した40歳のブケレ氏は語った。また9月に彼はツイッターでエルサルバドルの「独裁者である」と宣言したが、これは明らかに冗談だった。

ちなみにエルサルバドルは2022年に最初のビットコイン債券を発行する計画で、ブケレ氏はそれが60日後であることを示唆した。

ブロックチェーン技術を提供するブロックストリーム(BlockStream)の最高戦略責任者であるサムソン・モウ(Samson Mow)氏は、「ボルケーノボンドと呼ばれる最初の10年債は10億ドル相当で、ビットコインを裏付けとし、6.5%のクーポンを発行する」と述べている。

ブロックストリームの発表によれば、この債券は、暗号資産の投資家、利回りを求める投資家、HODLer(ビットコインの長期保有者)、一般の人々など、幅広い投資家にとって魅力的なものになると考えてるとのことだ。

その金額の半分は市場でのビットコインの購入に充てられるという。その後、他の債券も発行される予定だ。

5年間のロックアップ後、エルサルバドルは債券の資金調達に使用したビットコインの一部を売却し、投資家に「追加の利率(クーポン)」を提供するとモウ氏は述べ、暗号資産の価値が今後も堅調に上昇するとの見通しを示した。

さらにモウ氏は「これで、エルサルバドルは世界の金融センターになる」と語った。 この債券は、ビットコインのサイドチェーンネットワークである「リキッドネットワーク(Liquid Network」で発行される予定だ。

このプロセスを促進するために、エルサルバドル政府は証券法の制定に取り組んでおり、「取引所を運営する最初のライセンスはビットフィネックス(Bitfinex)に与えられるだろう」とモウ氏は述べた。

プレゼンテーションではビットフィネックスがこの債券の主幹事(ブックランナー)として記載されていたようだ。 モウ氏は「このような債券が10本発行されれば、50億ドル相当のビットコインが数年間市場から消えてしまうと」は語った。

さらにモウ氏は「100カ国でこのような債券を発行すれば、ビットコインの時価総額の半分がそこにあることになります」とも語った。

債券の「ゲーム理論」によって、最初の発行者であるエルサルバドルが有利になったとモウ氏は主張し次のように語った。

「私はそうなると思いますが、もし5年後にビットコインが100万ドルに達したら、彼らは第2四半期後にビットコインを売って5億ドルを回収できるでしょう」

 (Reporting by Nelson Renteria; Editing by Christopher Cushing and William Mallard)
翻訳:竹田匡宏(あたらしい経済)
※この記事は「あたらしい経済」がロイターからライセンスを受けて編集加筆したものです。
images:Reuters

この記事の著者・インタビューイ

竹田匡宏

兵庫県西宮市出身、早稲田大学人間科学部卒業。 「あたらしい経済」の編集者・記者。

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