富士通、水資源不足解決のためのブロックチェーンプラットフォーム構築へ

富士通がブロックチェーンで水取引プラットフォーム構築へ

富士通が世界の水資源不足解決に向け、ブロックチェーン活用の水取引プラットフォームの構築を開始したことが11月18日分かった。

このプラットフォーム「ボタニカルウォーターエクスチェンジ(Botanical Water Exchange:BWX)」の構築は、英ボタニカルウォーターテクノロジーズ(Botanical Water Technologies LTD.:BWT)との契約により行われるとのこと。

「BWX」には富士通のブロックチェーンソリューション「FUJITSU Track and Trust」が用いられている。

2020年設立のBWT社は、食品工場で野菜や果物の圧縮時に発生する従来廃棄されていた水分を、植物由来の純水(ボタニカルウォーター)として精製する技術を保有する企業。同社は飲用水の確保が困難な地域にボタニカルウォーターを販売するとともに、一部を無償で提供する活動を行っている。

今回構築する「BWX」では、ボタニカルウォーターの精製、販売、購入、配送、利用といった工程にトレーサビリティを確保し、安心安全な水取引の実現を目指すとのこと。また濃縮ジュース工場や砂糖工場、アルコール蒸留所、飲料メーカーなどの様々な企業がボタニカルウォーターを売買できる市場を形成するとのこと。

ボタニカルウォーターの売り手となる工場は、BWT社の技術設備を導入し、従来廃棄されていた水を浄化してボタニカルウォーターを精製。自社において再利用することも可能だが、「BWX」を導入することで他の食品・飲料メーカーへボタニカルウォーターを販売することが出来るという。

「BWX」によって、売り手と買い手のマッチングやダイナミックプライシング(変動価格性)、ロジスティックスの最適化が可能になるとのことだ。

また「BWX」ではカーボンクレジットと同様の概念の「ウォータークレジット」が利用可能であるとのこと。多くの事業水を使用している都市部の大企業が、水不足の地域に近い食品工場に資金を支払い、ウォータークレジットを取得することで、その資金をもとに食品工場は近隣地域に清潔な飲用水を提供出来るという。これにより、その大企業は特定非営利活動法人「ボタニカルウォーター財団(Botanical Water Foundation)」を通じて間接的に慈善事業が行えるという仕組みとのことだ。

ボタニカルウォーターテクノロジーズのCEOであるテリー・ポール(Terry Paule)氏は「当社の技術を用いることで、例えば、サトウキビから砂糖を抽出した後、まだ利用可能な60%の水分を回収することができます。このように精製されたボタニカルウォーターを多く所有する食品、飲料メーカーは、持続可能な原材料として循環的に利用し、新たな飲用水として販売することができます。さらにウォーター・ポジティブなESGプログラムや非財務指標の一部として『BWX』でウォータークレジットを提供することも可能です」とリリースにてコメントしている。

「BWX」は来年2022年4月にBWT社より提供開始予定とのことだ。

なお「あたらしい経済」編集部が富士通の広報担当者へ確認をとったところ、今回の「BWX」のブロックチェーン基盤には、エンタープライズ向けブロックチェーンであるハイパーレジャーファブリック(Hyperledger Fabric)が採用されているとの回答を得た。

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参考:富士通
デザイン:一本寿和
images:iStocks/taa22・LeshkaSmok・dalebor

この記事の著者・インタビューイ

大津賀新也

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者 ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。