SBI子会社の英B2C2、世界初「暗号資産NDF取引」実施。シンガポールQCPと

英B2C2とシンガポールQCP、世界初の「暗号資産NDF取引」実施

SBIファイナンシャルサービシーズの連結子会社である英B2C2 Limitedとシンガポール拠点のQCP Capitalが、世界で初となる「暗号資産(仮想通貨)NDF取引」を11月10日に実施したことを発表した。

NDF(ノンデリバラブル・フォワード)取引とは、取引対象通貨による決済は行わず、事前に決めた取引価格(NDF価格)と決済時点での実勢価格との差額を米ドルなどの通貨で差金決済する取引手法。今回の「暗号資産NDF取引」では暗号資産の物理的な受け渡しを必要としないため、より小さい決済リスクで行える暗号資産取引となっているとのこと。SBIはこの取引手法により、近年高まる顧客の暗号資産取引ニーズに合致した新たな取引機会が提供可能だとしている。

今回実施された「暗号資産NDF取引」は、ビットコインを原資産とし、米ドル建てで行われたという。また取引には米CMEグループと英クリプトファシリティーズ社が提供するビットコイン価格を対象とする参考基準レートである「CME CF Bitcoin Reference Rate」の2021年11月19日満期レートが適用されたとのことだ。

B2C2の共同CEOであるフィリップ・ギレスピー(Phil Gillespie)氏は「暗号資産NDFは、金融機関が精通している金融商品に近いものであり、彼らにとっては待ち望んでいた商品で、私たちは世界初となる暗号資産NDF取引を実施できたことを誇りに思います。この新たな暗号資産先物商品の登場は、ビットコインが単なるインターネット上の商品から、多くの主要な金融機関に受け入れられる商品への分岐点になるであろうと信じています」とリリースにてコメントしている。

またQCP Capitalの共同創業者のダリウス・シット(Darius Sit)氏はリリースにて「QCP Capitalは、暗号資産を扱うことができない投資銀行などの伝統的な金融機関にとって、このNDF取引が暗号資産市場への入り口になると考えています。私たちはB2C2社と共に、このような先進的な商品に携わり、新たな暗号資産先物市場を開拓出来ることを嬉しく思います」とコメントしている。

英国に本社を置き、米・日に拠点を持つB2C2 Limitedは、暗号資産取引において、大手取引所やヘッジファンド、ブローカー等に向けてグローバルに流動性を提供するマーケットメイカー事業を行っている企業だ。2020年12月にSBIファイナンシャルサービシーズが90%の株式を取得し、子会社化している。

QCP Capitalは、暗号資産のオプション取引やデリバティブ取引を行い20億米ドルの預かり資産を有する企業。同社は東南アジアを中心としたアジア市場に強みを持っているとのことだ。

関連ニュース

三井物産デジタルアセットマネジメント、三菱UFJ信託銀行、SBI証券がセキュリティトークンの公募ファンドで協業 

【取材追記】野村と大和、SBIとSMBC設立の「大阪デジタルエクスチェンジ」へ資本参加 

SBIがNFT事業参入、スマートアプリを子会社化し「SBINFT」に。またスタートバーンとも提携 

日本産食品をブロックチェーンで追跡管理、SBIトレーサビリティが「SIMENAWA」開発 

参考:SBI
デザイン:一本寿和
images:iStocks/pgraphis・ismagilov

この記事の著者・インタビューイ

大津賀新也

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者 ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。