イーサリアムのレイヤー2技術「zkSync」開発Matter Labs、シリーズBで約56億円調達

「zkSync」開発のMatter Labs、シリーズBで約56億円調達

イーサリアムのレイヤー2技術「zkSync」を開発するプロジェクト「マター・ラボ(Matter Labs)」がシリーズB資金調達ラウンドで約56億円(5000万ドル)を調達したことが11月8日に分かった。

調達した資金は技術チームの拡大と事業拡大のための資金に充てる予定とのことだ。

「zkSync」は、「ZK Rollup」のアーキテクチャを採用することで、レイヤー1のイーサリアムのセキュリティ設計を継承することができている。

発表では「ZK Rollup」を採用することで、「zkSync」は新たに信頼を必要とするバリデータ(validators)、ブリッジ(bridges)、ウォッチャー(watcher)代わりにレイヤー1のイーサリアムに依存できるブロックチェーンスケーリングアプローチとなっていると説明されている。

このシリーズBの資金調達はAndreessen Horowitzが主導し既存の投資家であるPlaceholder、Dragonfly、1kxが参加した。

また新規投資家としてBlockchain.com、Crypto.com、Consensys、ByBit、OKEx、Alchemy、Covalent、AAVE、Paraswap、Lido、Futureswap、Gnosis、Rarible、Aragon、Liquity、Celer、Connext、Perpetual、Euler、Opiumなど約70ほどの創業者やリーダーが参加したとのことだ。

マター・ラボのCOOであるゾーイ・ガズデン(Zoé Gadsden)氏は資金調達にあたって、次のようにコメントしている。

「これまで当社は、技術革新にほぼ集中してきました。今後はユーザーや開発者へのアプローチにも力を入れていきたいと考えています。そのためには、事業開発やマーケティングの規模を拡大し、コミュニティやエコシステムを構築する必要があります」

スタンフォード大学のコンピュータサイエンスの教授であるダン・ボネ(Dan Boneh)氏は次のようにコメントしている。

「zkSyncはメインネットよりもはるかに高いレートと低いガス料金でイーサリアムの取引を可能にします。Matter Labsが使っている数学事項は実に美しく、こんなに早く大規模に実現するとは驚くべきことです」

アンドリーセン・ホロウィッツのゼネラルパートナーであるアリ・ヤヤ(Ali Yahya)氏は次のようにコメントしている。

「マター・ラボは、セキュリティ、分散性、コンポーザビリティを犠牲にすることなくブロックチェーンのスケーラビリティの問題を解決することで、web3で可能なことのフロンティアを広げています。

イーサリアムのスケールアップを支援することで、マター・ラボはweb3で可能なアプリケーションの全く新しいセットを解き放つでしょう。 私たちはそのミッションで彼らとパートナーになれることを嬉しく思います」

イーサリアムのレイヤー2技術「アービトラム(Arbitrum)」を開発するオフチェーンラボ(Offchain Labs)も9月に140億円を資金調達を行なっている。

アービトラムは、イーサリアム・バーチャル・マシーン(EVM)互換で、レイヤー2スケーリングソリューションの1つ「Optimistic Rollup」を採用している。

また「zKSync」と同様で「Zk Rollup」を採用しているImmutable XもTikTokと連携するなど、NFT領域でも台頭してきている。

今後もイーサリアムのレイヤー2プロトコルの争いは、熾烈になっていくだろう。

参考:Mattter Labs
images:iStocks/tongdang5・BadBrother
デザイン:一本寿和

この記事の著者・インタビューイ

竹田匡宏

兵庫県西宮市出身、早稲田大学人間科学部卒業。 「あたらしい経済」の編集者・記者。

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