電通国際情報サービスとKyuzanが共同研究開始
電通国際情報サービス(ISID)がブロックチェーン技術に特化した日本のスタートアップのKyuzanとパートナーシップ契約を締結したことを10月27日に発表した。
KyuzanはNFTゲーム「エグリプト(EGGRYPTO)」やNFTプラットフォーム「ミント(Mint)」を開発・運営している。また過去にはライゾマティクス(Rhizomatiks)のNFTマーケットプレイスの「NFT-Experiment」にてPerfumeのNFTミントを担った実績もある。
このパートナーシップでは、ISIDがこれまでエンターテインメント領域企業や電通グループ向けに提供してきたIPコンテンツに係るシステム構築で培った知見と、KyuzanのブロックチェーンやNFTの知見を組み合わせて、新しいNFTのユーザー体験を創出する仕組みと、ブロックチェーン技術の開発およびNFTマーケットプレイス構築に向け共同研究を進めていくとのことだ。
共同研究の具体的なテーマとして、次の5つが発表されている。
1.AR/VR やメタバースの活用によるリアルとデジタルが融合した新たなNFT体験設計および実現可能性の検証
2.ウォレットやクレジットカード決済などによる多様で複雑な売買手段の検討と改善
3.Layer2技術などNFTにおける複数プロトコルレイヤーを用いた新たなブロックチェーン技術の開発
4.「Mint」を活用した様々なコンテンツへのNFT 活用と二次流通管理のサービス基盤づくり
5.NFT発行・売買時の電力消費によるCO2排出量のカーボンオフセットに関するスキーム検証
Kyuzan代表取締役 髙橋卓巳氏へ取材
「あたらしい経済」編集部は株式会社Kyuzanの代表取締役である髙橋卓巳氏へ取材を行った。
−日本において、NFTのUX向上に必要な要素は何でしょうか?
まずは、もっと身近にNFTを手に取ってもらいやすくすることが重要だと考えています。現状では、NFTを購入するまでに、ウォレットのインストールや取引所における暗号資産の購入とウォレットへの送金など多くのステップを必要とします。
まずは多くの人にNFTを手に取ってもらい、気軽に交換などを通したコミュニケーションを体験してもらうために、ビギナー向けのウェブで完結する簡単なウォレットとの連携やクレジットカードなど身近な決済手段を選択肢として提供することが重要だと考えています。
また、購入を前提としない、無料で配布するキャンペーンなども行える仕組みも実現していきます。
−5つの共同研究テーマの中で、最も優先順位が高いテーマとその理由はなんでしょうか?
様々なコンテンツのNFT活用による新しいNFT体験や二次流通を実現することです。
理由は、単なる売買だけではない体験を提供するサービスやコンテンツを作り、NFTを手に取ってみたいというユーザーを増やし、さらに多様なNFT活用の可能性を広げたいからです。
また、両社の強みを活かすことで初めて可能になる具体的なサービスを構築し、ユーザーのフィードバックや開発知見を共有しながら、根本的なUX・技術の課題にアプローチしていきたいと考えているからです。
images:iStocks/PerlaStudio・Lidiia-Moor
デザイン:一本寿和