CboeがErisXの買収へ、暗号資産の現物・先物取引の実現を目指す

CboeがErisXの買収へ、暗号資産の現物・先物取引の実現を目指す

米大手デリバティブ取引所のシカゴ・オプション取引所を運営するシーボー・グローバル・マーケッツ(Cboe Global Markets:Cboe)が、暗号資産の現物・先物の取引所であるErisX(Eris Digital Holdings)を買収する契約を締結したことを10月20日に発表した。買収は2022年前半に完了する予定で、金額など条件は公表されていない。

ErisXは、米国でデジタル資産の現物(スポット)市場、先物(フォワード)取引所および清算期間(クリアリングハウス)を運営している。

そしてErisXはビットコインとイーサ(イーサリアム)の先物、および現金決済の先物などの取引サービスを提供している。

発表によれば、CboeはErisXを買収することで、他の暗号資産業界のパートナーらと共同で開発するデジタルファーストのプラットフォームを通じ、デジタル資産のスポット市場およびデリバティブ市場に参入する予定とのことだ。

具体的にCboeは、デジタル資産事業を新会社Cboeデジタル(Cboe Digital)として運営する予定であり、暗号資産のデリバティブ市場発展のため「デジタル・アドバイザリー・コミッティ」を結成するとのことだ。

「デジタル・アドバイザリー・コミッティ」には、DRW、Fidelity Digital Assets、Galaxy Digital、Interactive Brokers、NYDIG、Paxos、Robinhood、Virtu Financial、Webullが参加するとのことだ。

また一部のメンバーはCboe Digital の少数株主持分を取得し、事業の成長に向けたパートナーとしての役割を果たす意向とのことだ。

Cboe Global Marketsの会長、社長兼CEOのエド・ティリー(Ed Tilly)はErisX買収について次のようにコメントしている。

「ErisXの買収は、業界の幅広い参加と支持を得て、伝統的な市場の規制の枠組み、透明性、インフラ、データソリューションをデジタルアセットの分野に導入するのに役立つと考えています。ErisXはスポットおよびデリバティブの暗号資産取引を改善するための揺るぎないコミットメントを示しています。

私たちが一緒になれば、機関投資家やリテールの取引ソリューションに対する需要の高まりに応えるだけでなく、デジタル資産のイノベーションの限界を押し広げ、次の成長段階の扉を開くことができると確信しています」

ErisXのCEOであるトーマス・チッパス(Thomas Chippas)氏は次のようにコメントしている。

「デリバティブは規模の大きいデジタル市場には不可欠な要素であり、世界最大級のデリバティブ取引所運営会社であるCboeは、グローバルな顧客ネットワーク、国際的な運営、革新的なビジョンを持っており、ErisXだけでなく、デジタル資産の分野全体を成長させることができます。

Cboeのサポートと業界パートナーのネットワークにより、ErisXは新規および既存の企業がコンプライアンスを遵守し、自信を持って暗号資産のスポットおよびデリバティブ商品を顧客に提供することを可能にします。

透明性と信頼性の高い当社のデジタル資産市場は、現在および将来において、暗号資産のスポットおよびデリバティブ取引サービスを提供するすべての市場参加者にとって選択すべき場所となります」

現在、米国の証券取引所がビットコインの先物・現物の取り扱いを検討する動きが活発化している。実際にインターコンチネンタル取引所傘下のNYSEアーカ(Arca)取引所がプロシェアーズのビットコイン先物ETF「ProShares Bitcoin Strategy ETF」を19日に取引開始した。初日は2.59%高の41.94ドルで取引され、売買代金は約10億ドルとなった。

またナスダックは先週「Valkyrie Bitcoin Strategy ETF」の上場を承認した。そして暗号資産業界関係者らは、ビットコイン「現物」ETFの承認に期待を集めており、グレースケールはGBTCをETFに転換申請した。

今後、Cboeがビットコインを含めた暗号資産の先物・現物取引を開始すれば、その影響は大きいだろう。それは従来の証券市場と暗号資産が融合した取引所の誕生となる。

参考:プレスリリース
デザイン:一本寿和
images:iStocks/tampatra・Lidiia-Moor

この記事の著者・インタビューイ

竹田匡宏

兵庫県西宮市出身、早稲田大学人間科学部卒業。 「あたらしい経済」の編集者・記者。

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