ビットコイン法定通貨化のエルサルバドル、数千人が独裁政権を危惧しデモ参加

エルサルバドル、数千人が独裁政権を危惧しデモ参加

エルサルバドルで17日、大規模なデモが起こった。数千人の人々が街頭に立ち、権力を集中させようとしているナジブ・ブケレ(Nayib Bukele)大統領への抗議を行った。

ブケレ大統領はそれを受けて煽るように、自身のツイッターのプロフィールを「独裁者(Dictator)」から「エルサルバドル皇帝(Emperador de El Salvador)」に、その日のうちに変更した。

地元メディアによると、少なくとも4,000人が首都サンサルバドルをデモ行進したと推定されている。彼らはブケレ大統領による最高裁判事の解任や大統領の2期目の可能性、ビットコインの法定通貨化などを非難する横断幕や看板を掲げていた。

17日のデモ参加者には「エルサルバドルは何を望んでいるのか? 独裁者を追い出せ!」などと叫んだ者もいた。首都の中央広場の近くでは、40歳の大統領の似顔絵に火をつける者もいたようだ。

9月に行われたビットコインを非難するデモを含め、エルサルバドルではこの1ヵ月ほどで2回の大規模なデモが行われた。

5月、ブケレ大統領が率いるヌエバス・イデアス党(Nuevas Ideas Party)が初めて政権を握った議会は、国内最高の法学者である最高裁憲法審査会判事と、当時の司法長官の解任を決定した。後任にはブケレ氏に友好的な人物がすぐに選ばれたが、それは米国や国際的な人権団体から厳しい批判を受けた。

また最高裁判事が大統領の2期目の連続就任を違憲と判断したことで、ブケレ政権は米国から非難を浴びることになった。

デモに参加した労働組合員のローザ・グラナドス(Rosa Granados)氏は「今日、ブケレ政権は法律を尊重していないため、私たちは完全に権利を失っています。ナジブの意志によってエルサルバドルという国が機能しています」と述べた。

さらにクラナドス氏は「彼が手を挙げれば、すべての代議士がそれを承認し、法律も法的手続きも尊重されません」と述べた。

ブケレ大統領は、ソーシャルメディアを巧みに使いこなし、しばしば挑発的な発言をしているが、ツイッターで今回のデモ活動を「失敗」と断じた。

さらに「今回のデモは失敗であり、彼らはそれを知っている….. ここではもう誰も彼らを信じない」とツイートしている。

(Reporting by Nelson Renteria, writing by Cassandra Garrison, Editing by Nick Zieminski and Edwina Gibbs)
翻訳:竹田匡宏(あたらしい経済)
※この記事は「あたらしい経済」がロイターからライセンスを受けて編集加筆したものです
images:Reuters

この記事の著者・インタビューイ

竹田匡宏

兵庫県西宮市出身、早稲田大学人間科学部卒業。 「あたらしい経済」の編集者・記者。

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