大手金融機関らの証券トークン(ST)研究コンソーシアム、第2期ワーキンググループ発足

大手金融機関らの証券トークン研究コンソーシアム、第2期ワーキンググループ発足

三菱UFJ信託銀行株式会社が証券トークン(セキュリティートークン:ST)の社会実装を目指して2019年11月に設立した「ST研究コンソーシアム(SRC)」の第2期ワーキング・グループの発足を10月6日に発表した。

発表によれば、第2期では様々な企業がデジタル証券業界へ参入する意思決定を容易にすることを目指していくとのことだ。

またSBIグループとSMBCグループによる合弁会社「大阪デジタルエクスチェンジ」と三菱UFJ信託銀行が開発・提供するデジタル証券の発行・管理プラットフォームである「Progmat」の連携によるセカンダリ市場確立の2023年度での実現なども目指していくという。

発表では改正や制定すべきルールとして「競売買方式を採用するデジタル証券PTSにおける相場操縦規制及びインサイダー取引規制が適用される点を明確化すること」や「値幅制限/サーキットブレーカーやマーケットメイカーの行動規範について、自主規制機関による自主規制及びデジタル証券 PTSの規則を制定すること」などが提案されている。

また分散型台帳技術(DLT)のオープン化のガバナンス・セキュリティ・秘匿化の詳細定義として「ネットワーク参加者によるスマートコントラクトのデプロイ及び品質管理方法の明定」や「Progmatシステム全体としてのセキュリティ要件及び秘匿化要件等の参加者間合意」なども記載されている。

ちなみに現時点で2期ワーキング・グループに参加が確定している企業は次の通りである。

−証券会社
・大和証券株式会社
・東海東京証券株式会社
・三菱UFJ モルガンスタンレー証券株式会社
・モルガンスタンレーMUFG 証券株式会社
・auカブコム証券株式会社
・株式会社SBI証券
・SMBC日興証券株式会社

−新たにデジタル証券専業の証券会社を設立するアセットマネジメント会社等
・ケネディクス株式会社
・株式会社LayerX

2021年日本のデジタル証券動向

2021年に入り、日本ではデジタル証券の動きが活発化している。3月にSBI証券が、そして5月にはSMBC日興証券がデジタル証券を取り扱い可能とした。

また7月には、三菱UFJ信託銀行株式会社、ケネディクス株式会社、野村證券株式会社および株式会社SBI証券の4社が、受益証券発行信託スキームを用いた資産裏付型デジタル証券の公募について協業することを発表している。なお前述の三菱UFJ信託らのデジタル証券にはブロックチェーン基盤「Progmat」の活用が発表されている。

「ST研究コンソーシアム」の第2期ワーキング・グループではデジタル証券基盤として「Progmat」の活用が議論されていくことが予想されるが、他にも野村ホールディングス、野村総合研究所、SBIホールディングスの合弁会社「Boostry」のデジタル証券基盤「ibet」、米デジタル証券企業セキュリタイズの基盤などもある。

これから日本ではどのようにデジタル証券基盤が醸成されていくのか、注目だ。

参考:三菱UFJ信託銀行株式会社
デザイン:一本寿和
images:istocks/Rawpixel・NanoStockk

この記事の著者・インタビューイ

竹田匡宏

兵庫県西宮市出身、早稲田大学人間科学部卒業。 「あたらしい経済」の編集者・記者。

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