【取材】九州工業大の履修証明書にブロックチェーン、アイティフォーとchaintopeが実証実験へ 

九州工業大の履修証明書にブロックチェーン

九州工業大学とアイティフォー、chaintopeがブロックチェーンを活用した電子証明書発行に関する共同実験を開始することが10月1日に分かった。

この実証実験は10月からシステム開発を実施し、来年3月より開始予定とのこと。実証実験の対象となるのは九州工業大学情報工学部の情報教育支援士養成講座受講修了生だ。

具体的には、九州工業大学の情報教育支援士養成講座の履修証明書を、スマートフォンやタブレットへの電子発行し、福岡県飯塚市などの自治体に提出、正式受領されるまでの一連の手続きが実施される。

そこで電子証明書の真正性・有効性や、各種手続きの簡略性・利便性によるコストや負荷削減効果が実証される予定だ。 この実証実験では、アイティフォーがchaintopeのブロックチェーン「Tapyrus(タピルス)」を活用して電子証明書交付に関するトラストサービスを構築していくとのこと。

九州工業大学がこの実証を行う理由は、近年のペーパーレス化への動き、新型コロナウイルス感染症拡大を機に浮上した在学生や卒業生に対する安心安全を配慮した非接触・非対面の取り組みの必要性を感じたからとのことだ。

また実証内容は同大学が掲げる「未来思考キャンパス構想」の推進に向けて、各種証明書の電子化への動きにも関連しているとのこと。

そして今後、アイティフォーとchaintopeは国内の地方大学へトラストサービスの横展開と電子発行された各種証明書活用のための民間企業との連携を推進していく予定とのことだ。

また構築したトラストサービスを活用し地方自治体の住民サービス向上を図るため、住民票などの証明書の電子交付サービスを展開・拡大もしていくようだ。

あたらしい経済編集部は株式会社アイティフォー フィナンシャルシステム事業部 営業推進部 部長の儘田隼一氏へ取材を行った。

ーまず現在の証明書の発行・受領・承認プロセスで重要なファクターはなんでしょうか?

大学では、学生向けに発行する各種証明書を電子化し、より安全で使いやすい仕組みが求められています。

今回の実証実験では、大学は電子証明書を発行、学生はそれをスマートフォンで受領し提出、また企業や行政は受領確認を行いますが、いずれも同一の基盤において安心・安全に行えることが重要です。

そのために、耐改ざん性の高いブロックチェーン基盤として「Tapyrus(タピルス)」を活用します。

ー実証実験を通してサービスの実現可能性を担保できた場合、他にどのような証明書に活用したいと考えていますか?

今回構築するブロックチェーンを使ったトラストシステムを活用すると、大学内のあらゆる証明書に対応が可能です。 それらを行政・金融・交通といった公共インフラなどと外部連携を行うことで、証明書の活用範囲はさらに拡大します。

例えば就職活動の際に学生が企業から成績証明書や卒業見込証明書の提出を求められた際にこういったシステムを利用できれば利便性が向上します。 ただその際、受け手の企業にこのブロックチェーンのシステムが信用され、どれくらい普及していくかがカギになるのではないでしょうか。

将来的には、行政、金融機関などが発行する各種証明書の電子化も視野に入れ、利便性、効率性、環境保護の観点からより有益となり、地方創生をご支援できるようなソリューションを展開していきたいと考えています。

参考:アイティフォー
images:iStocks/Chinnapong・jauhari1
デザイン:一本寿和

この記事の著者・インタビューイ

竹田匡宏

兵庫県西宮市出身、早稲田大学人間科学部卒業。 「あたらしい経済」の編集者・記者。