未上場株や不動産などデジタル証券化、米セキュリタイズがマーケットサービス提供

米セキュリタイズがマーケットサービス提供

デジタル証券関連サービス提供の米セキュリタイズ(Securitize)が、投資家のプライベート資本市場へのアクセスを提供するサービス「セキュリタイズ・マーケット(Securitize Markets)」を米国で開始したことが9月29日に分かった。

プライベート資本市場とは、未上場企業の株式市場や私募発行の資金調達市場などを指す。

「セキュリタイズ・マーケット」では、個⼈投資家や機関投資家を対象に、規制に準拠したデジタルマーケットプレイスで、未上場企業の株式、不動産、ファンドなど、幅広いオルタナティブ資産へのワンストップでの投資・取引が提供されるとのこと。

このマーケットでは、すべての投資商品がデジタル証券(セキュリティトークン:ST)としてトークン化される。

セキュリタイズは従来の紙の証券に⽐べたデジタル証券のメリットとして「カウンターパーティーリスクを最⼩化できる即時決済、仲介者が少ない効率的な運⽤、分割所有のしやすさ」を挙げている。

そしてこのマーケットの提供により、⾮上場企業による資⾦調達や株主管理、そしてスムーズな⼆次取引も可能になるとのことだ。

セキュリタイズのCEO兼共同創業者カルロス・ドミンゴ氏は次のようにコメントしている。

「IPOにのみ注⽬するのは誤っています。今は成熟企業ではなく、アーリーステージの企業に投資することで富が⽣み出されます。しかし、これまで多くの投資家はこのような機会から締め出されてきました。Securitize Marketsはより多くの投資家にオルタナティブ投資の機会を提供し、プライベート資本市場全体の流動性を⾼めること⽬指しています。

Securitize Marketsは世界最⼤規模で、証券の発⾏から管理まで完全にデジタルで対応し、規制に準拠したプライベート資本の調達・ 取引を可能にするソリューションを構築する最後の重要な要素です。この重要なプラットフォームをわずか8ヶ⽉で開発したSecuritizeチームを⾮常に誇りに思います」

Securitize Markets CEOのスコット・ハリガン(Scott Harrigan)氏は次のようにコメントしている。

「中型・⼤型スタートアップの経営陣は、ベンチャーキャピタルや銀⾏からの資⾦調達に多くの時間を割いており、事業運営や拡⼤への注⼒が犠牲にもなりかねません。

Securitizeにより、スタートアップは⾃⾝の成功に最も貢献している顧客やファン、パートナーから直接資⾦を調達できるようになります。またSecuritize Marketsを使えば、投資家は特別な関係を持ったVIPであったり、IPOまで何年も待つ必要はなく、オンラインで簡単に取引ができます」

なおセキュリタイズは6月に約52億円の資金調達を行なった。この資金調達はBlockchain CapitalとMorgan Stanley Tactical Valueがリード投資家となり、新規投資家として、Ava Labs、IDC Ventures、Migration Capital、NTTデータ、三井住友信託銀行なども加わった。

ちなみにセキュリタイズは2019年に三菱東京UFJ・野村HD・KDDIなどからも資金調達を行なっている。NTTデータは昨年12月にセキュリタイズと協業して、デジタル証券プラットフォーム開発に向けて動き始めている。

今回発表された「セキュリタイズ・マーケット」は、米セキュリタイズが日本で証券業務を営むライセンスを保有していないため、現在日本居住者には提供されない。

しかしセキュリタイズの日本法人は18年に設立されており、今後資本関係にある国内企業らと連携して日本でデジタル証券マーケットサービスの展開の可能性もあるのではないだろうか。

デザイン:一本寿和
images:iStocks/RAPEEPON-BOONSONGSUWAN・dalebor

この記事の著者・インタビューイ

竹田匡宏

兵庫県西宮市出身、早稲田大学人間科学部卒業。 「あたらしい経済」の編集者・記者。

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