医療機器等の物流業務改善に向けた実証実験
株式会社chaintope(チェーントープ)が、医療機器・材料の共同配送による業務の効率化を目的とするトレーサビリティ実現に向けた実証実験を実施したことが9月24日分かった。なおこの実証実験にはchaintopeの独自ブロックチェーン「Tapyrus(タピルス)」を技術基盤に用いたトレーサビリティサービスが採用されたとのこと。
今回の実証実験では「メーカー」「ディーラー」「病院」それぞれが独自に行う医療機器・材料業界の物流において、物流拠点設置による共同配送やITシステムを導入し、業務効率化の推進と医療機器・材料の安定供給を目指したとのこと。また物流についてトレーサビリティを実現することで作業の見える化を行い、業務効率化をすることも目的とされているようだ。
なおこの実証実験は医療機器・材料の総合商社である株式会社ムトウの協力のもと行われたとのこと。同社の物流施設のムトウ東京SPDセンターで、メーカーから入庫した医療材料のピックアップからディーラー(卸業者)への受け渡しまでの過程を、前述のトレーサビリティサービスで検証したという。
検証では対象となる商品に貼付された2次元バーコードをスマートフォンの専用アプリでスキャンすることで、各工程のトレーサビリティを正確に記録できることが確認できたとのことだ。 また各工程におけるリードタイムを計測することで、トレーサビリティサービスが物流工程における業務改善に応用できることが確認できたとのことだ。
chaintope事業開発担当の迎義規氏に取材
「あたらしい経済」はchaintop事業開発担当の迎義規(むかえよしのり)氏に取材した。
―医療機器・材料業界の物流において、トレーサビリティはどの範囲で実現できますか? また次はどのような実証実験が予定されていますでしょうか?
本件の目的の一つとして、ディーラー(卸業者)に対して、物流における共同配送のサービスを提供することであります。その前提においては、主に「メーカー」→「拠点(共同配送倉庫)」→「ディーラー」までの流れについてトレーサビリティが実現される想定です。また、「医療機関」の協力が得られば、「メーカー」から「医療機関」までのすべての流れにおいてトレーサビリティを実現することも視野にいれております。
次の実証実験については、直近での具体的な予定はありませんが、今後は、「拠点(共同配送倉庫)」から「医療機関」への直接供給を前提とした実証実験を視野に入れております。
−今回のトレーサビリティサービスが、複数社が関わるような実際のユースケースでは、どの程度の効果が期待できるのでしょうか?
今回の実証実験では自社内の限られた範囲で確認しましたが、実際のユースケース(複数社が絡む)で想定した場合、共同配送倉庫を立ち上げる地域単位(都道府県)で、トレーサビリティの取得と分析が可能になることが予想されます。
その場合、全国展開しているメーカーやディーラーにとっては、全国単位(一部地域限定ではあるが)でトレーサビリティを取得し、それを業務改善に応用できることが期待できます。
参考ニュース
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参考:チェーントープ
デザイン:一本寿和
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