UXD Protocol、海外著名VCらから約3.3億円調達
ステーブルコインの開発・提供を行う「UXD Protocol(旧Soteria)」が、約3億3,000万円(300万ドル)の資金調達したことを9月2日に発表した。
この資金調達には、米著名暗号資産ファンドであるMulticoin Capitalが主導し、FTXの投資ファンドであるAlameda Research、Defiance Capital、CMS Holdings、Solana財団、Mercurial Finance、Solanaの創業者であるAnatoly Yakovenko氏とRaj Gokal氏、またSaberの創業者であるDylan Macalinao氏が参加した。
「UXD Protocol」は日本の暗号資産取引所bitFlyer出身の稲見建人氏が2020年に創業した企業だ。また同プロトコルは取引処理が高スループットという特徴を持つソラナ(Solana)ブロックチェーン上でステーブルコイン「UXD」を開発、運用していく予定だ。
なお「UXD」の特徴として「デルタニュートラルなポジションに100%担保された米ドルペッグの準備資産をプログラムで作成する、初めての真の意味で信頼のおけるステーブルコイン」と発表で説明されている。
またMulticoin CapitalのマネージングパートナーであるTushar Jain氏は、今回の出資理由について「中央集権化のリスクなしにこの機会を捉える唯一の方法は、デルタニュートラルなポジションに裏付けられたステーブルコインです。UXDは、急成長中のDeFiエコシステムが本格的に始動しているSolanaでローンチされるということもあり、その将来性には非常に期待しています。これ以上のタイミングはありません」とリリースでコメントしている。
なお「UXD Protocol」のテストネットは9月に、メインネットは10月にリリースされる予定とのことで、そのための人員確保や開発に今回の調達資金は活用される。また「UXD」のローンチに先駆けて、NFTも発行する予定だ。そのNFTは将来的に「UXD Protocol」が制作する物理的なパーカーと交換可能のようで、販売開始価格は69ドルでオークション形式で販売される予定とのこと。
今回の資金調達をした「UXD Protocol」の創業者兼CEOの稲見建人氏に「あたらしい経済」は取材を実施。稲見氏は現状のステーブルコイン関連の課題について以下のように語ってくれた。
「ステーブルコインは大きく分けて中央集権的なステーブルコイン(USDCやUSDT)と、非中央集権的なステーブルコイン(DaiやUST)があります。中央集権的なステーブルコインは資本効率性が高く、安定しているのですが、いつ規制当局に規制されて使用できなくなるか分かりません。
また、発行体がアドレスをブラックリスト登録することによって使用不可能になるリスクもあります。非中央集権的なステーブルコインはそのリスクがないのですが、安定していなかったり、資本効率性が低いことが多いです。UXDはこれらの問題点を解決するべく、非中央集権的で安定しており、資本効率性が高いです」
また今後の「UXD Protocol」の展開については以下のように説明してくれた。
「UXDはソラナの上で開発されており、今後は様々なDeFiのアプリケーションの上で取引できるようになります。例えば、ステーブルコインスワップのSaberやMercurialで他のステーブルコインと交換したり、流動性供給などができるようになります。
また、SerumやMango MarketsといったDexで他の暗号資産と交換したり、UXDをコラテラルとしてPerpetual swapを取引することができるようになります。この時、UXDを保有しているユーザーは金利が付与されるので、DeFiでアプリケーションを触れている時に常に金利がもらえるようになります。様々なDeFiアプリケーションで使用できるようになった後は、取引所への上場を目指します」と説明してくれた。
最後に、暗号資産専門の海外ファンドの投資判断基準について「海外ファンドの投資判断基準は様々で一概には言えません。ただ、各ファンドには特色があり、自分のプロジェクトがファンドの投資方針に合っているかどうかが重要になります。
また、どのチェーンの上で開発しているかも各ファンドは見ております。特に米国のファンドとアジアのファンドの間にはどのチェーンを重視しているかやどういうプロジェクトが好きかに関しても大きな違いがあります。自分のプロジェクトがどこに該当して、どのVCから資金調達しやすいかを見極めるのが重要です」と語ってくれた。
デザイン:一本寿和
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