米決済大手ペイパル、英国で暗号資産売買サービス提供へ

ペイパル、英国で暗号資産売買サービス提供へ

米決済大手ペイパル(PayPal)が、英国で暗号資産の売買サービスを今週中に開始する予定であることが8月23日に報じられた。

具体的にはビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)、ライトコイン(LTC)、ビットコインキャッシュ(BCH)の4つの暗号資産を取引・保有できるサービスが提供される予定とのことだ。

なお英国展開について、今年2月ペイパルのエグゼクティブ・バイス・プレジデント兼最高戦略・成長・データ担当役員のジョナサン・アウアーバッハ(Jonathan Auerbach)氏が「英国へのサービス展開は米国での新サービスの結果が期待を上回った為」であるとし「数ヵ月以内に英国にて開始する予定である」と発言していた。

すでにペイパルは米国で昨年11月に暗号資産売買サービス開始しているが、米国外への展開は今回が初の事例となる。なお米国のサービス開始時と取扱銘柄は同様だ。

またペイパルの英国でのサービスのパートナーは米パクソス(Paxos)だ。パクソスはマーケットメーカーおよびカストディプロバイダーとしての役割を担うとのこと。ちなみにペイパル・ベンチャーズ(PayPal Ventures)が、パクソスのシリーズCラウンドで投資を行なっている。

ペイパルの広報担当者は英国でのサービスについて「1ポンドまたは1ドルという少額から暗号資産への投資を始めることができますが、最大投資額には上限があります。英国では、ユーザーは1週間に15,000ポンド以上の価値のある暗号資産を購入することはできません」と伝えている。

そして英国でのサービス開始にあたって、ペイパルのブロックチェーン・暗号資産・デジタル通貨担当副社長兼ゼネラルマネージャーのホセ・フェルナンデス・ダ・ポンテ(Jose Fernandez da Ponte)氏は「デジタル通貨は、グローバルな金融や商取引の将来において重要な役割を果たします」とリリースでコメントしている。

ペイパルの米国での歩み

ペイパルが昨年11月に暗号資産売買サービスを米国内でローンチした際、その狙いを「最終的に世界中2,600万以上のペイパル加盟店での購入資金源として暗号資産を利用できるようにし、暗号資産の有用性を大幅に高め、中央銀行デジタル通貨(CBDC)の発行に備えるため」としていた。その後米国では4月に暗号資産での決済サービスの提供も開始している。

またペイパルCEOのダン・シュルマン氏は2021年7月29日のQ2決算説明会にて「私たちは引き続き、暗号資産に関する勢いに非常に満足しています」と述べ、暗号資産サービスの限度額の拡大と、サードパーティウォレットへの送金を可能にするという長期的な目標を示唆した。また暗号資産に関連する税務申告プロセスについてもシームレスなものを実現する狙いがあると示している。

かつてペイパルがインターネット上でグローバルな決済の提供を拡大してきたように、今後暗号資産に関しても積極的なグローバル展開が期待できるかもしれない。

参考:ロイター
デザイン:一本寿和
images:iStocks/Prykhodov・Molnia

この記事の著者・インタビューイ

竹田匡宏

兵庫県西宮市出身、早稲田大学人間科学部卒業。 「あたらしい経済」の編集者・記者。

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