米コインベース、ビットコインやイーサなど暗号資産を約550億円購入する方針を発表

米コインベース、暗号資産を約550億円購入する方針を発表

米暗号資産取引所コインベース(Coinbase)のCEOブライアン・アームストロング氏が、同社取締役会にて約550億円(約5億ドル)規模の暗号資産の購入に関して承認されたことを8月19日にツイッターで明かした。

コインベースが暗号資産購入に利用する約5億ドルは、同社がバランスシートで計上している現金および現金同等物から拠出されるとのことだ。

ウォール・ストリート・ジャーナルによれば、コインベースは上場後約4,400億円(40億ドル)ほどの現金および現金同等物を保有しているとのこと。なお同社が5月に約1,364億円の新株予約権付転換社債の私募発行を行なったことも、その戦略の1つのように思える。

8月19日にコインベースが公開したブログによれば、投資する予定の暗号資産の内訳は、ビットコイン、イーサリアム、PoSトークン、DeFi(分散型金融)トークンだ。さらに同社は四半期ごとの純利益の10%を、様々な暗号資産の保有に割り当てていくとのことだ。

そしてコインベースはドルコスト平均法によって、暗号資産への投資を継続的に行っていくとのこと。ただし投資した資産がコインベースのプラットフォームから上場廃止になった場合など、特定の状況下では売却する可能性があるとしている。

また顧客との利益相反を避けるために、OTC(店頭)取引での投資が行われるようだ。

コインベースの暗号資産保有銘柄(2020年12月31日時点)

コインベースが保有する暗号資産の公正価値は、昨年12月31日時点で約250億円(2億5,020万ドル)。当時の内訳はビットコイン約138億円(1億3,010万ドル)、イーサリアム約25億円(2,380万ドル)、USDC約51億円(4,890万ドル)、その他の暗号資産約36億円(3,400万ドル)であった。

暗号資産経済を自ら牽引する姿勢

なおコインベースは公式ブログで「現在、ベンダーや従業員への支払い、会社の現金の運用など、コインベースの金融取引の大部分は、依然として法定通貨建てで行われています。私たちは模範となるべき立場にあり、事業の運営方法から始めて、暗号資産の普及と実用化を可能にする方法を徹底していきます」と説明している。

今後購入していく暗号資産は、事業展開や資金運用に加え、従業員給与や取引先への支払いにも活用されていくとみられる。

またコインベースは6月に年金サービス企業ForUsALLと、暗号資産利用の確定拠出年金プラットフォームの発表しており、退職金の運用も暗号資産で行われていく予定だ。

CEOブライアン氏はツイートで、今後の定期的な暗号資産投資への割合について「暗号資産経済の成熟にともなって、増やす可能性がある」としている。

今回の発表から、コインベースは、自らの企業運営にも積極的に暗号資産を取り入れ、今後の暗号資産経済(クリプトエコノミー)を牽引していく姿勢がうかがえる。

参考:コインベース
デザイン:一本寿和

この記事の著者・インタビューイ

竹田匡宏

兵庫県西宮市出身、早稲田大学人間科学部卒業。 「あたらしい経済」の編集者・記者。

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