【取材】サイバーエージェント子会社のCyberZが「NFT事業」に参入した理由(CyberZ取締役 青村陽介)

CyberZがNFT事業に参入

広告マーケティング事業や、ゲーム動画配信プラットフォーム「OPENREC.tv」、国内最大級eスポーツイベント「RAGE」の運営を手がける株式会社サイバーエージェントの子会社、株式会社CyberZ。

そしてそのCyberZの子会社にはフィギュア販売やオンラインくじなどのオンラインエンターテイメント事業をおこなう株式会社eStreamや、eスポーツに特化した広告マーケティング企業の株式会社CyberEがある。

そんなCyberZが、先月コインチェック株式会社とNFT事業において協業を発表。さらにその後CyberZは同社の関連子会社である株式会社OENとNFT事業への参入についても発表した。

CyberZがこれまでのエンタテインメント事業の実績を、どのようにNFT事業へと拡大していくのか。「あたらしい経済」編集部はCyberZ取締役の青村陽介氏に、NFT事業に参入した理由や、どのような事業展開を目指しているのかについて語っていただいた。

CyberZ取締役 青村陽介氏へ取材

−なぜCyberZはNFTに興味を持ち、 動きはじめたのでしょうか?

理由は次の2つです。

1つは「 NFTはエンターテインメント産業の将来性に大きく寄与する可能性があると考えるため」です。NFTの将来性に魅力を感じており 、 ブロックチェーン関連事業者様やエンターテイメント企業様ととも に市場を大きくしたいと考えております。

まずはビジネス機会とし て魅力的であると捉えています。 例えばNFTの一つの特徴として、 これまで価値を付与しにくいとされてきたデジタルデータに、 技術的に唯一無二の資産性を付与することが可能になるというもの があると思います。これにより二次流通で売買された際、 IPホルダーに継続的に還元が行われる仕組みが整うことはビジネス機会としてとても大きなものです。

またIPファンにとってもNFTは今後重要なものになると考えています。これまではデジタルデータの所有管理は、 発行企業のサーバー内で管理されており、依存状態にありました。

「自分が保有者であること」 の裏付けがブロックチェーンでなされるNFTには、 所有感を大切にするファンにとって、とても魅力的です。 所有証明にとどまらず、 サービスを横断した利用にも期待ができると考えており、 将来性を感じています。

2つ目は「 エンターテイメント領域におけるユーザー体験やビジネスに対して 、新しい可能性をもたらす技術であると考えるため」です。

これまでCyberZはエンターテイメント領域で様々な事業に取り組んで参りました。ライブ配信サービスである「OPENREC. tv」、オン・オフラインのeスポーツ大会を開催する「 RAGE」、eスポーツ・ ゲーム会社様のマーケティング支援を行う「CyberE」、 IPのマーチャンダイジング事業を行う「eStream」 等の事業がそれにあたります。

新型コロナウィルスの影響でオフラインでの接点が変わりつつある中、 エンターテイメントの体験を変革させていかなければならないことは業界の共通課題です。

例えばオフラインイベントは、 コロナ前エンターテイメント好きの皆さんにとって唯一無二の体験だったと思いますが、未だ100% での実施がなかなか難しい状態が続いています。唯一無二の体験が 変化しているこの期間中、 私達も多くのオンライン施策にチャレンジして参りました。

音楽や舞台などのオフラインイベントをオンラインで行っていくPPVビジネスである「SUPERLIVE」、 eスポーツ大会はほとんどをオンラインに置き換え、 より体験価値を拡張するために「VRAGE」 というVRイベントにも挑戦しています。

このチャレンジの延長で 、 NFTに取り組んでいくことはとても必然性があると考えております。NFTの代替不可能である特性を活かして、 新しい体験やビジネスをつくっていきたいです。

−NFTだからこそ実現しうるコンテンツのあり方は、 どのようなものでしょうか?

私達が取り組んでいくエンターテイメントの領域におきましては、 次の2つのことが実現しうるあり方だと考えています。

1つは「 真のファンが喜ぶコンテンツを提供すること」。ブロックチェーン 上の記録は、 IPを大切にする真のファンにとって嬉しい技術です。グッズを作 っても転売目的で買われて、 フリマサイト等で高値で取引されてしまうのを、 ブロックチェーンに記録していくことで本当のファンが所有してる 証を作る等も可能になるのではないかと考えています。

デジタルコピーで満足するような世界を変えていくような取り組み を行っていきたいです。

そして2つ目は「 唯一無二な体験をもたらすこと」です。例えば私達が取り組むオンラインイベントで、 その日の思い出を切り取ったNFTをお届けできたら、 その日の唯一無二な思い出をより深いものにできる可能性があると思います。

またゲーム実況のライブ配信には時に「神回」 というものが存在します。その回では配信者・ 視聴者間で喜びを分かちあうためにデジタルアイテムの活用が今でも行われています。

例えばここにNFTを導入した場合、配信者・ 視聴者の間にこれまでになかった体感をもたらせる可能性がでてきたりもすると思います。これらは一例でありますが、 様々なトライをしていく予定ですので、 是非ご期待いただければと思います。

 

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この記事の著者・インタビューイ

竹田匡宏

兵庫県西宮市出身、早稲田大学人間科学部卒業。 「あたらしい経済」の編集者・記者。