国際決済銀行、クロスボーダー決済を実現する「プロジェクト・ネクサス」構想発表

国際決済銀行、クロスボーダー決済を実現する「プロジェクト・ネクサス」構想発表

国際決済銀行(BIS)が各国の高速決済システムを連携させ、国境を越えた即時決済を可能にする「プロジェクト・ネクサス(Project Nexus)」を7月28日に発表した。このプロジェクトは、G20らが進めているクロスボーダー決済の強化に向けた活動を補完するものとのことだ。

またこのプロジェクトはシンガポールとタイの決済プロジェクトをベースに、両国の高速決済システムを連携させ、電話番号のみで国境を越えた決済を可能にするとのこと。これにより即時決済以外にもより安価で透明性の高い送金が可能になるようだ。

BISのレポートによれば、現在世界では60以上の高速決済システムが運用されており、シンガポールとタイが他のすべての国と接続しようとすると、それぞれが59の統合を行う必要があるとのことだ。これがシステム導入の大きな課題となっているとのこと。

しかし「プロジェクト・ネクサス」を実装することで、各国の国際決済システムは一度に他国のシステムにアクセスできるようになるとのことだ。これが実現できるのは、「プロジェクト・ネクサス」が各国の中継銀行の役割を担うコルレス銀行口座の概念を排除して設計されているからとのことだ。

またレポートではプロジェクト・ネクサスは民間ステーブルコインと中央銀行デジタル通貨(CBDC)の中間レベルのプロダクトに値すると説明されている。

参考:国際決済銀行
デザイン:一本寿和
images:iStocks/mizoula・Pavel_R

この記事の著者・インタビューイ

竹田匡宏

兵庫県西宮市出身、早稲田大学人間科学部卒業。 「あたらしい経済」の編集者・記者。