米議員、公聴会で中央銀行デジタル通貨(CBDC)について期待とリスクを議論

米議員、公聴会で中央銀行デジタル通貨(CBDC)について期待とリスクを議論

米国議員による中央銀行デジタル通貨(CBDC)に関する公聴会が7月27日に行われた。開催は国家安全保障、国際開発および金融政策に関する下院小委員会だ。

「中央銀行デジタル通貨の期待と危険性:The promises and perils of central bank digital currencies」と題されたこの公聴会では、米ドルCBDCのリスクや利点について、議員が専門家に質問を行った。

CBDC導入の問題点

共和党のパトリック・マクヘンリー(Patrick McHenry)下院議員は「(CBDCについて)米国人が動かなければ、国際的な決済や送金は私たちが望まない体制となるかもしれない。しかし国内的には決済コストの問題が指摘されています」と述べ、CBDCには国際的・国内的の2つの異なる問題があるとした。

民主党のジェイク・オーチンクロス(Jake Auchincloss)下院議員はマクヘンリー議員と同様に「地政学的、戦略的な目的のためにCBDCが必要だということは、非常に説得力がある。そして経済的な影響力を維持するためにも、基軸通貨としての米ドルを維持するためにも、米国が(中国に)追いつく必要があることも理解できる」と話した。

CBDC導入による監視強化の懸念

共和党のアンディ・バー(Andy Barr)下院議員は「プロセスを急いではいけない。早くCBDCを発行するよりも正しくそれを行うことの方が重要」とし、またCBDCで先を行く中国については、デジタル人民元によって国内の監視活動を強化する可能性があるため「注意深く観察する必要がある」と話した。

マクヘンリー下院議員もこの意見に同意し、CBDCの開発には「プライバシー権と市民的自由」を考慮する必要があると話した。

また共和党のトム・エマー(Tom Emmer)下院議員は「(CBDCは)オープンで、パーミッションレスで、プライベートな(プライバシーが守られる)もの」でなければ有益でないと話した。そして「FRB(米連邦準備制度理事会)がリテール銀行口座を提供し、米国人のあらゆる情報を収集できる監視ツールのようなCBDCを作ることは、米国を中国のデジタル権威主義と同列に並べることに他なりません」と話し、CBDCの導入による政府の監視強化を懸念した。

なお米国の中央銀行にあたるFRBは、今年後半に米ドルのCBDCに関するレポートを発表する予定となっている。

デザイン:一本寿和
images:iStocks/YayaErnst・Rawpixe

この記事の著者・インタビューイ

小俣淳平

「あたらしい経済」編集部 一橋大学2年生 真面目で温厚な20歳。大学1年生のころにブロックチェーンに出会い、その革新性に衝撃を受け、ブロックチェーン業界に足を踏み入れた。勢いのままに学内で「OneLab」というサークルを立ち上げ、週一で活動している。

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