欧州委員会が暗号資産の移転にFATFのトラベルルールを適用する法案を提出
EUの政策執行機関である欧州委員会が、暗号資産の移転に伴う情報共有ルール(トラベルルール)を適用するための法案を7月20日に提出した。
トラベルルールとは、マネーロンダリングおよびテロ資金供与への対策を目的として、金融活動作業部会(FATF)が定めた顧客情報の共有に関するルールである。トラベルルールによると、顧客によって一定額以上の資金が送信される場合、受信側と送信側の暗号資産プロバイダーはその顧客に関する情報を共有しなければならない。
プレスリリースによると、この法案の目的は「疑わしい取引や活動の検出を改善し、犯罪者が金融システムを利用して不正な収益を洗浄したり、テロ活動の資金を調達したりするための抜け道を塞ぐこと」とされている。
この法案が可決された場合、1,000ユーロを超える送金について暗号資産プロバイダーは顧客の名前、アカウントID、住所、生年月日などの詳細な情報を受信側のプロバイダーと共有しなければならなくなる。さらに匿名のマネーロンダリングにつながる匿名の暗号資産ウォレットの提供も禁止されるとのことだ。
この法案の懸念事項としては、暗号資産業者の技術的コストの増加が挙げられている。暗号資産業者プロバイダー間での安全な情報共有の仕組みが整っていないため、資金に余裕のあるプロバイダーしかトラベルルールに対応できず、小規模なプロバイダーが市場から排除される可能性があるとのことだ。
この法案は今後欧州議会と欧州連合理事会で審議され、法律化されるかが決まる。
参考:欧州委員会
デザイン:一本寿和
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