【追加取材】デジタル証券企業セキュリタイズ、NTTデータや三井住友信託銀行らから約52億円を調達(カントリーヘッド, ジャパン 小林英至)

セキュリタイズ、NTTデータや三井住友信託銀行らから約52億円を調達

デジタル証券企業の米セキュリタイズ(Securitize)が、シリーズB資金調達ラウンドにおいて新規および既存の投資家から約52億円(4,800万ドル)を調達したことを6月22日に発表した。

この資金調達はBlockchain CapitalとMorgan Stanley Tactical Valueがリード投資家となった。新規投資家として、Ava Labs、IDC Ventures、Migration Capital、NTTデータ、三井住友信託銀行なども加わった。また既存の投資家としてBlockchain Ventures、Borderless Capital、Global Brain、Mouro Capital、Ripio、Ripple、SPiCE VCが参加した。

これによりセキュリタイズは北米、欧州、アジア太平洋地域の大手機関投資家からの投資を受けた初めてのブロックチェーン企業となったようだ。なお今回のシリーズBの参加者および既存のセキュリタイズの投資家は、セキュリタイズのプラットフォーム上で発行されるデジタル証券の形で株式を受け取ることになる。

今回の資金調達は、プライベート資本市場の流動性向上に向けたデジタル証券向けのマーケットプレースとなるセキュリタイズ・マーケッツ(Securitize Markets)の立ち上げに先立って行われたものとのことだ。そして資金調達を受けセキュリタイズは、Morgan Stanley Tactical Valueの共同責任者であるペドロ・テイシェイラ(Pedro Teixeira)氏を取締役に迎えたことも発表した。

セキュリタイズのCEO兼共同創業者カルロス・ドミンゴ(Carlos Domingo)氏は「セキュリタイズは昨年のシリーズAで、ベンチャーキャピタルや欧州・日本の大手金融機関など強力なパートナーを得ることができました。

今回のシリーズBでは、米国の大手投資銀行や日本最大の信託銀行、さらにはトップベンチャーキャピタルが加わり、デジタル証券の普及に対する確信が広まっていることがわかります」とコメントしている。

セキュリタイズ取締役/Blockchain Capital 共同創業者兼マネージングパートナーのブラッド・スティーブンス(Brad Stephens)氏は「Blockchain Capitalは2017年にセキュリティトークンを発行して以来、デジタル証券を支持してきました。当社が初期から投資しているセキュリタイズは、この成長分野における疑う余地のないリーダーとして台頭してきました。

Blockchain Capitalは、セキュリタイズの初期投資家であること、Morgan Stanleyをはじめとする、オルタナティブアセットとデジタル証券の将来においてセキュリタイズが中心的な役割を果たすことを理解している業界のリーダーたちと提携できることを誇りに思っています」とコメントしている。

Morgan Stanley Tactical Value Investing 共同責任者のペドロ・テイシェイラ(Pedro Teixeira)氏は「当社はブロックチェーン業界への最初の投資先として、デジタル証券のリーディングカンパニーであるセキュリタイズを選択しました。

セキュリタイズはブロックチェーン上でのデジタル証券のパイオニアとして、規制に準拠し、デジタルで完結するエンドツーエンドのソリューションを提供する存在として知られています。セキュリタイズのソリューションで非上場企業は資金調達が可能になり、投資家は流動性へアクセスしやすくなります。

私たちは最先端のビジネスやアセットクラスに長期的な投資を行っていますが、Securitizeへの投資は、私たちがデジタル証券の成長と普及を確信していることを示しています」とコメントしている。

三井住友信託銀行執行役員で法人企画部長の若尾一輝氏は「今回、先般のSTO案件組成に加えて、デジタル証券分野で最先端の技術、業界有数の利用顧客を有し、世界をリードするセキュリタイズ社との一層強化されたパートナーシップは大変意義深いものと考えます。

今回の出資を通し、弊社はセキュリタイズ社との連携を通じ、まずは国内外における金融のデジタル化をリードし、お客様にとって価値のある金融サービスの展開を検討してまいります」とコメントしている。

あたらしい経済編集部はSecuritize Japanのカントリーヘッド, ジャパン 小林英至氏へ取材を行なった。

カントリーヘッド, ジャパン 小林英至氏へ取材

ー2021年現在のSTOの現状はいかがでしょうか? 

小林英至(以下:小林):STO案件、投資家は急速に拡大しています。Securitizeでは2017年にスタートして倍倍以上の成長率で発行体、投資家が拡大しており、PRにもありますが、現在150+社、300+k投資家です。

数だけでなく、裾野も広がっています。例えば、発行体では当初はBCやVCが多かったのですが、現在では幅広い業界に渡っており、また最近では大手金融機関が本格的にSTOをスタートしています。

ーセキュリタイズの2021年後半の展望を教えてください。

小林:弊社のビジョンは全ての資産・証券のトークン化ですが、現在のモメンタムを更にリードしていきたいと考えています。

参考:セキュリタイズ
デザイン:一本寿和
images:iStocks/Sushiman・BadBrother

この記事の著者・インタビューイ

竹田匡宏

兵庫県西宮市出身、早稲田大学人間科学部卒業。 「あたらしい経済」の編集者・記者。