NFTとDAOで繋がるファンとの絆、バレエアートユニット「POiNT」が示すエンタメ業界の新たな可能性

POiNT

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NFTやDAOを活用、バレエアートユニット「POiNT」

今日ほど盛り上がりをみせる前から、NFT(代替不可能なトークン)を活用した活動を続けているアーティストがいる。3人組のバレエアートユニット、「POiNT」だ。

彼女たちはこれまで様々なNFTを発行し、ファンとコミュニケーションをしてきた。そして現在はそれらのブロックチェーン技術を活用し、DAO(自律分散型組織)の取り組みもはじめている。

彼女たちはなぜ、最先端の技術を活用してアーティスト活動を続けているのか?その理由やこれまでの活動の詳細を「あたらしい経済」は取材した。

NFTはバーチャルな人間関係に、リアルな実感を与えてくれる

POiNTメンバーの ARISA(右)、MIKU(中)、MOE(左)

−なぜアーティスト活動にNFTを取り入れようと考えたのでしょうか?

もともと私たちはライブをするときにVR/ARの技術を活用したりと、活動にデジタル的なものを活用していたんですが、そういったライブが新型コロナウイルスの影響でほとんでできなくなってしまって。

それで「cluster」という、バーチャル上のライブ開催できるアプリを使って、バーチャルなアバターを使ったイベントを毎週始めたんです。リアルな場所でライブができなかったので、まさにバーチャル空間でしたが、私たちにとってもファンの皆さんにとっても、それがリアルな場所でした。

そこでのイベントで、ファンの方にはエンジニアの方もいらっしゃったので、いろんなバーチャルアイテムを作ってもらったりしていました。そういうバーチャル空間での活動が続くなか、それを支えてくれるファンの方に何かお返しをしたいなと思ったんです。

普通のリアルなライブだとチェキを渡したりできるんですが、バーチャルライブではそれもデジタルチェキになってしまいます。何かもっといいものをファンの方に届けられないかと考えたんです。

そんな時、NFT(Non-fungible token:代替不可能なトークン)というブロックチェーンの仕組みを知りました。そして勉強してみて、NFTを使えばバーチャル上でも、もっと素敵なものが作れるんじゃないかと。

NFTはバーチャルな人間関係にリアルな実感を与えてくれるのもだと思ってます。だってNFTは消えないし、普通にデジタルチェキを送るのと違って、NFT、トークンを送るという特別な行為ですよね。いつ、誰から誰に送ったという履歴もブロックチェーン上に半永久的に残りますし。そしてそれを誰も改竄できない。

NFTで唯一無二の私たちとファンの皆さんの思い出になるようなものを作ることができるのでは、そう思ってはじめたのがきっかけです。初めてNFTを作ったのは昨年の7月10日でした。

ファンと共にNFTを学ぶ

−当時はまだNFTが今に比べれば一般的ではなかったですよね。どうやって勉強したんですか?

正直、初めは全然分からなかったです。でも幸い、周りに詳しい人がたくさんいて丁寧に教えてもらえたんです。

CryptoGamesの小澤孝太さんや、TokenPocketの中村昂平さんなどには実際NFTについてレクチャーしてもらって、その様子を私たちのYouTubeでも公開させてもらってます。

もちろんその当時、私たちのファンもNFTについて詳しい人はほとんどいませんでした。だからそのYouTubeでみんなに一緒に勉強してもらったり、私たちもNFTの受け取り方をnoteに書いて説明したり、今思い返せばファンの皆さんと一緒にNFTについて学んでこれたと思ってます。

−具体的にどのようにNFTを活動に取り入れていったんですか?

初めはサイン入りNFTを作ったり、ファンの方を勝手に表彰!みたいな企画で上位の方にNFTを送ったりしていました。

昨年12月はENJINさんとコラボして、配信ライブ中にQRコードを表示してクリスマスプレゼントとしてNFTをファンの方に配布する取り組みをしました。今年3月にはCryptoGamesとコラボして、NFTゲーム「クリプトスペルズ」でも使える「バレエアートNFT」のOpenSeaでの販売も行いました。

最近は「nanakusa」でアーティスト とぅんぬ さんとのコラボNFTのオークションも開催してました。

−ちなみにNFTのミント(鋳造:NFTを発行する作業のこと)も、皆さんご自身で行ってるんですか?

はい、コラボ企画などは除いて、基本的に自分たちでミントはしています、ちゃんとガス代も払ってます。

最近はBlockBaseの真木大樹さんのNFT作成ツール「Chocofactory」も使っています。とても可愛くて、使いやすくて便利なんですよね。

その紹介動画もYouTubeで公開しています。私たちが教わりながらメインネットで実際にNFTをミントする様子が見られるので、皆さんも見ていただけると、ミントできるようになると思います。

DAO使って、ファンにプロデュースしてもらう

−そして現在DAO(自律分散型組織)の仕組みも取り入れた活動をされていると聞きました。具体的にどんなことをやってるんですか?

それが

「せーの、POiNTだぉ♡(DAO)」(3人揃って)

という企画です。

「POiNTだぉ♡(DAO)」のポーズをとる3人

私たちは今まで、先ほどもお話ししたようにファンの皆さんもいろいろ勉強してくれて一緒に学んでこれたので、これまで応援してくれたファンの皆さんにお返しをしたい、と思って考えた企画です。

具体的には、まずこれまで私たちのNFTを持っている方に、投票券となるNFTを配布します。今まで発行したNFTの種類によって、投票できる票の重さも調整しています。

そしてファンの方に、私たちの新曲の関する投票をしてもらう仕組みです。その楽曲を聴きたいシュチュエーションや、曲の雰囲気、そしてその曲で踊るダンスのジャンルなどを投票してもらい、その結果に合わせた作品作りを行います。

言わば「POiNTだぉ♡(DAO)」は、これまで応援してくれたファンの皆さんが私たちのプロデューサーになってもらえる企画です。ちょうど今、第1弾の投票を行なっています。今後も開催しますので、是非ともこれからも発行するNFTを手に入れていただいて、DAOに参加して、皆さんにPOiNTをプロデュースしていただきたいです(参考:→POiNTだぉ♡(DAO)投票の仕方

リストラされて、NFTを購入

−NFTの発行やDAOなど様々な取り組みをされてる皆さんですが、先日NFTを購入もされていましたよね?

はい、音楽クリエイターNor(ノル)さんの、初の1stオリジナルボカロ楽曲「ハイイロ・サイコロジック feat.初音ミク」の世界で1つだけのリリース記念NFTをオークションで落札しました。

このNFTの初回購入者にはNorさんによってこの楽曲をレコーディングディレクション、ミックス、マスタリングまで行う共創体験が特典でついてくるんです。

https://twitter.com/point_party_/status/1384535952127709196

昨年からバーチャル上で積極的に活動をしてきた私たちですが、実は今年の3月に事務所をリストラされてしまったんです。やはりコロナの影響で、リアルな活動が難しいのが原因でした。そこからフリーになったことで、次の楽曲もプロデューサーもいない、という窮地に立たされたんです。

これからどうしようか、3人で悩んでいた時に、ちょうどこの共創NFTのことを知りました。何も無くなった私たちとしては、これは絶対手に入れたい、そう思ってオークションに参加したんです。

オークションは白熱して、本当に考えていた最大予算のギリギリのところまで金額が上がって。その様子をClubhouseでも中継していたんですが、みんなに応援しもらいながら無事落札することができたんです。

4.136ETHという金額だったので、最後終了20秒ぐらいでbitした時は、手が震えました。でも落札できて本当によかったです。

そして今ちょうどこのNFTの楽曲のレコーディングを終えたところです。この楽曲は事務所を離れてからの、新生POiNT第1弾の楽曲になります。

正直このNFTオークションにこれまで私たちがNFTで稼いだお金をほとんど注ぎ込みました。だから本当に多くの方にリリースしたら聴いていただきたいです。

ファンとブロックチェーンで繋がった活動を

−先進的にアーティストとしてNFTを活動に取り入れている皆さんですが、今改めて感じるNFTの魅力や可能性はなんですか?

NFTをファンの皆さんに持っていただける。そしてそれによってファンの皆さんのウォレットアドレスと私たちのアドレスが繋がって、今回のDAOのように、ファンにこちらから投票券トークンの配布など、様々なコミュニケーションができます。

NFTの流通履歴は改竄ができないので、例えばある一定期間のに発行したNFTも持っているファン、つまり昔からのファンだけにコンテンツを贈るとか、逆に新しくファンになってくれた方に特典を付与するとか、そういったこともできます。

これまではSNSのフォロアーや、ファンクラブ会員などより、もっと深い繋がりが作れていると思ってます。それが魅力ですね。

また実際DAO的に楽曲作りを企画してみて、正直今まではファンの方には見えなかった、裏の事務所の戦略や意向などで決まっていた楽曲製作の流れが、全てパブリックで行えることにも魅了を感じてます。

ファンの皆さんも楽曲の制作過程を見られるし、一緒に創っていける。その過程などがシェアされていくのが、NFTを活用する新たなアーティスト活動の可能性だと思います。

−これからも皆さんはどのように活動していきたいと思ってますか?

今私たちの活動資金の大半はNFTによる収益で補っています。このスタンスは変えずにNFTを使って、どんどんと新しいことに挑戦していきたいです。

そしてまだまだ多くのアーティストは、NFTを使っていません。でもNFTは必ずこれからのアーティストの活動から切り離せないものになっていくと信じていますので、私たちや、私たちの活動が有名になって、音楽業界に広がっていってくれれば嬉しいと思ってます。

正直今、音楽業界もエンタメ業界も、新型コロナウイルスの影響で先の見えない状況が続いていると思います。事務所を離れたときの私たちのように、これからどう活動をしていこうか悩んでるアーティストさんも少なくないはず。

大袈裟かもしれませんが、NFTを通じた私たちの活動が、少しでもエンタメ業界に新しい可能性を示すことができればと思っています。

関連リンク

公式サイト/ Twitter/ YouTube/ LINE/ cluster/ fanicon/ instagran/ TikTok/

 

取材/編集:設楽悠介
撮影:大津賀新也

この記事の著者・インタビューイ

POiNT

POiNT(ARISA・MIKU・MOE)は、幼少期からバレエを踊り続けてきた、3人で結成されたバレエヴォーカルユニット。“クラシックバレエをもっと身近に”という想いから、バレエ×歌×POiNTオリジナルストーリー×テクノロジーを組み合わせた、新しいエンターテイメントの形「21世紀バレエアート」を発信するべく、多方面で活動中。

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