AFINとR3が提携、CBDCのサンドボックス立ち上げ

AFINとR3が提携、CBDCのサンドボックス立ち上げ

シンガポール金融管理局、国際金融公社、ASEAN銀行協会が共同で設立した非営利団体「ASEAN金融イノベーション・ネットワーク(ASEAN Financial Innovation Network:AFIN)」が、エンタープライズ向けブロックチェーン企業R3と提携したことを6月16日に発表した。提携の目的は銀行やフィンテック企業が中央銀行デジタル通貨(CBDC)アプリケーションを構築・テストし、その革新と採用をグローバルに推進できるようにすることのようだ。

AFINはシンガポール金融管理局らが関わる「APIエクスチェンジ(APIX)」にて新たなデジタル通貨サンドボックスを立ち上げた。そしてR3がデジタル通貨を使ったアプリケーション構築のためのAPIを提供する最初のパートナー組織となった。

AFINはグローバルな金融機関や規制機関が利用するCBDC実験用の学習・開発プラットフォームである「R3 Sandbox for Digital Currencies」のAPIをサンドボックスで選択し、2021年8月よりAPIXで活用していくとのことだ。 また開発者はクラウド型の統合開発環境(IDE)を活用して、APIXで異なるソリューション領域においてR3のAPIなどを統合したコードを作成・編集することができるようになる。

AFINのアドバイザーであるピーター・フランケン(Pieter Frankeen)氏は「ローンチして3年が経過したAPIXプラットフォームは、飛躍的な成長を遂げました。現在ではFinTechエコシステムがデジタル通貨の日常的な取引への展開に新たな弾みをつけることを可能にしています。R3のAPIがAPIXに搭載されることで、金融機関とフィンテック企業が共同で新しいCBDCソリューションを設計し、未来に対応した企業として展開していくことになるでしょう」とコメントしている。

R3の創業者兼最高経営責任者のデビッド・E・ラッター(David E. Rutter)氏は「CBDCの取り組みは世界的に勢いを増しており、ASEAN地域も例外ではなく、シンガポールで長期的に実施されているProject Ubinをはじめ、多くの中央銀行、商業銀行、フィンテック企業がCBDCパイロットの展開を進めています。当社のCBDC APIをAPIXで世界中の銀行やフィンテック企業が利用できるようにすることで、R3は官民の参加者が世界中でより速く、より安全な決済の開発を推進することをサポートしていきます」とコメントしている。

シンガポール金融管理局のチーフ・フィンテック・オフィサーであるソプネンドゥ・モハンティ(Sopnendu Mohanty)氏は「ブロックチェーン技術の導入への関心が高まっており、これらの技術と互換性のある、より効率的な国際決済への強い要望が生まれています。シンガポール金融管理局はAFINとR3のコラボレーションにより、世界中の中央銀行、金融機関、フィンテック企業の間でより広範な実験が行われることを心強く思います。このコラボレーションにより、世界のFinTechエコシステムは、デジタル通貨を中心とした金融イノベーションをより深く理解できるようになるでしょう」とコメントしている。

参考:apixplatform
デザイン:一本寿和
images:iStocks/mizoula・Ninja-Studio

この記事の著者・インタビューイ

竹田匡宏

兵庫県西宮市出身、早稲田大学人間科学部卒業。 「あたらしい経済」の編集者・記者。