立民と国民、ブロックチェーン活用のネット投票推進法案を衆議院提出
立憲民主党と国民民主党が「インターネット投票の導入の推進に関する法律案」(議員立法)を6月11日17時に衆議院へ提出した。なおこのインターネット投票のデータ管理のセキュリティ確保にはブロックチェーン技術の採用が想定されている。
法案提出後には記者会見が行われ、筆頭提出者である立憲民主党デジタル政策プロジェクトチームの事務局長、中谷一馬衆議院議員が今回の法案に関する説明を行った。
この法案の目的は年齢・身体的条件・地理的制約などで投票所への移動が困難である選挙人の投票機会を等しく確保するためとしており、今回の提出は「多様な参政権の確保の第一歩」であると会見で説明された。
また筆頭提出者の中谷議員は、今回の法案について「全ての選挙人に等しく投票の権利を確保することは極めて重要なことであり、また選挙は民主主義の根幹に関わるものであります。これを実現していくためにも、インターネット投票の導入について目標時期と基本方針をどういう条件で定めるべきであるのかを政府の中で検討して実装していくプログラム法案ということで提出させていただきました」と説明をした。
2025年の参議院選挙での本格実施を目指す
なお対象となる選挙は国政選挙、地方選挙、最高裁判所裁判官国民審査、憲法改正国民投票となっている。2025年の参議院選挙より本格実施を目指し、その他の選挙は順次実施を目指すとのこと。
本格実施が25年の参議院選挙である理由については「地方選挙では各地域の規模の違いにより懸念点も違うため、国政選挙から開始をする。また衆議院選挙では開催が不定期であり予定が立て辛く、また来年開催される参議院選挙では喫緊であるため」と記者の質問に回答する形で、立憲民主党デジタル政策プロジェクトチームの座長である後藤祐一衆議院議員が説明をした。
法案導入に向けてはまず、政府に「インターネット投票導入推進会議」を設け、制度上及び技術上の課題を法律施行後1年を目途に検討するとのこと。その後は在外投票と新型コロナの宿泊・自宅療養者の投票について早期に実施をするという。
インターネット投票を行う上で論点となるのは、主に「なりすまし防止」「投票干渉の防止」「不正防止・投票の秘密」だ。
「なりすまし防止」に対し電子署名による本人承認や詐偽投票への罰則整備が想定されているとのこと。
「投票干渉への対処」としては、ネット投票のやり直しが何度でも可能となる制度を設けており、また最終的には本人が投票所に出向く紙での投票が優先される仕組みをとるようだ。
さらに「不正防止・投票の秘密」についてはブロックチェーン技術による透明性や対改ざん性などの特性を用いることで対応するとのこと。ブロックチェーン技術を前述のような制度面と合わせて活用していくということが、会見で説明された。
なおこの法案は今後与党から同意を得て可決されれば、政府が立法へ向け動き出すとのことだ。現状では議論は活発に行われているものの、与党への交渉などはこれからであるとし、今後与野党を越えて取り組みたいと説明がされた。
過去に一度「公職の選挙に係るインターネットを利用する投票方法の導入に係る措置に関する法律案」が2016年12月に日本維新の会の藤巻健史元参議院議員によって提出されたが、具体的な内容を含んだ法案として提出されたのは今回が初であるとのことだ。
立憲民主党デジタル政策PT座長の後藤祐一衆議院議員は会見で「この法案提出から政治の世界のDXが始まっていくと思いますのでぜひご注目いただければと思います」とコメントした。
取材・文・写真:大津賀新也(あたらしい経済)