旭化成、日本IBMらとブロックチェーン活用のプラスチック資源循環プロジェクト「BLUE Plastics」発足

旭化成、日本IBMらとブロックチェーン活用のプラスチック資源循環プロジェクト「BLUE Plastics」発足

旭化成株式会社がブロックチェーン技術活用の資源循環社会の実現に向けたデジタルプラットフォームの構築を目指した「BLUE Plastics(ブルー・プラスチックス:Blockchain Loop to Unlock the value of the circular Economy)」プロジェクトの発足を5月24日発表した。

なお「BLUE Plastics」プロジェクトはSDGs(持続可能な開発目標)に象徴されるサステナビリティへの取り組みの一環として行われ、日本アイ・ビー・エム株式会社(日本IBM)の技術支援により、2022年3月末までにデジタルプラットフォームのプロトタイプを用いた実証実験を開始するとのことだ。

このプロジェクトは、IBM Cloud上で稼働する、日本IBMのブロックチェーン技術を活用することでデジタルプラットフォームの構築を目指すほか、ブランドオーナーの立場からライオン株式会社、成型および最終製品化の各工程を専門とするメビウスパッケージング株式会社、リサイクルメーカーの立場から株式会社富山環境整備が協力することで、資源循環社会の実現を加速させるとしている。リサイクルチェーンメンバーがすべてそろって開発に協力をしている点に同プロジェクトの特徴があとのことだ。

「BLUE Plastics」実証実験の概要

「BLUE Plastics」実証実験は一般家庭等から廃棄・回収される容器・包装プラスチックを再生した原料(ポリエチレンを想定)を使用したトイレタリーボトルを題材とした取り組みから開始するとのこと。デジタルプラットフォームのプロトタイプにリサイクルチェーンメンバーの意見を反映し、改良を行ったうえで、2022年3月末までに再生プラスチックを試験的に流通させ、ブロックチェーン上で管理する実証実験を実施する。

将来的に「BLUE Plastics」では、デジタルプラットフォームで運用する樹脂の種類や用途も拡大し、同業他社問わず誰もが活用できるオープンなデジタルプラットフォームとして公開し、日本だけでなく、アジアへの展開も見据えて取り組んでいくとのことだ。

デジタルプラットフォームのプロトタイプ概要と特徴

デジタルプラットフォームのプロトタイプは再生プラスチック製品におけるリサイクル素材の使用率の表示や、リサイクルチェーンの関与企業の可視化から、消費者の行動変容の促進を目指し、企業ならびに一般消費者の使用も想定し開発しているという。消費者はスマートフォンのカメラを使い、再生プラスチック製品に印字されたQRコード等を読み取ることで、ブロックチェーン技術のトレーサビリティ(追跡可能性)によって来歴を確認することが可能となるとのことだ。

リリースによると「BLUE Plastics」ではすでにデジタルプラットフォームのプロトタイプが完成しており、次の3つの特徴を有していると説明されている。

(1)ブロックチェーンによる認証でリサイクル証明を担保
日本IBMのブロックチェーン技術を応用し、再生プラスチックのリサイクル率を証明する。消費者はスマートフォンのカメラで再生プラスチック製品に貼付してあるQRコード等を読み取ることで、再生プラスチックのリサイクル率を確認できる。

(2)リサイクルチェーンの可視化により消費者の安心感を醸成
上記同様に製品のQRコード等を読み取ることでリサイクルチェーンとプレイヤーをさかのぼって確認できる。データはブロックチェーンで管理されており、来歴の透明性を担保することで消費者の安心感を醸成する。

(3)消費者のリサイクル行動の変容を促す仕組みづくり
リサイクル行動にポイントを付すことで、消費者の行動変容を促すとのこと。実証実験や社会実装を通じてさらに効果的な仕組みづくりに努め、新たなリサイクル文化の創造を目指す。

以上の特徴により、再生プラスチック使用率の確認、リサイクルチェーンの可視化に加え、消費者行動変容を促す仕組みを備え、消費者まで巻き込んだリサイクル文化の創造を目指すとのことだ。

編集部のコメント

日本IBMは4月26日に三井化学株式会社ともブロックチェーン活用のプラスチック資源循環プラットフォームの構築へ向け協働開始を発表しています。

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参考:旭化成

(images:iStocks/duleloncar_ns・Lidiia-Moor・your_photo)

この記事の著者・インタビューイ

あたらしい経済 編集部

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