クロニクルド、米国の医薬品問題対策に新たなワーキンググループを立ち上げ

クロニクルド、米国の医薬品問題対策に新たなワーキンググループを立ち上げ

ブロックチェーンを活用した医薬品トレーサビリティプラットフォーム「MediLedger(メディレジャー)」のネットワーク管理者である米サンフランシスコのChronicled(クロニクルド)が、米国の医薬品に関する問題に対応すべく、新たなワーキンググループの立ち上げを4月27日発表した。

米国では日本のような国民皆保険制度がなく、個人が医療を利用するためには雇用主を通じるか、あるいは自ら直接私的な医療保険を購入し加入しなければならない。そのため米国ではこの私的な医療保険に加入することが難しい低所得者などを対象とした政府による医療給付制度「メディケイド(Medicaid)」がある。

また米国では低所得入院患者の割合が規定を超える医療機関(薬局)が外来患者用薬を製薬会社から低価格で購入できる「340B薬剤価格設定プログラム(340B)」がある。

「メディケイド」を対象とした医薬品を扱った医療機関(薬局)は製薬会社へ手数料を請求できるが、その医薬品を340Bの価格で購入する例があるといい、これは二重の割引となってしまうため、厳密には認められていないとのこと。

このため現在、複数の製薬会社が重複割引問題を解決するために、メディケイド請求要件や340B割引制限を設け管理を増やしている状況であるという。なお340Bの対象となる薬局は過去10年間で1,000社から28,000社に増え、年間消費額は350億ドルに達しているとのことだ。

そこでこの問題に対応すべく、メディレジャーでは製薬会社、340B登録企業、規制当局が解決策に取り組むためのワーキンググループを5月に立ち上げるということだ。

編集部のコメント

メディレジャーでは米国における医薬品問題に取り組むべく、過去にも以下の3つのワーキンググループの立ち上げを行っています。

【MediLedger Supply Chain Working Group】
このグループは、DSCSA(Drug Supply Chain Security Act)で定められた要件を中心に2017年に結成されました。このグループから、2019年に製薬業界初の商業用ブロックチェーンソリューションがMediLedgerネットワーク上で開始されました。

米国では、毎年何百万もの医薬品が再販のために返送されています。DSCSAの検証要件では卸売業者は返品された医薬品をサプライチェーンに再導入する前に製品の検証を行う必要があります。現在、米国では95%の医薬品がMediLedger Networkを通じて検証できるようになっています。

【MediLedger Revenue Management Working Group】
このグループは、リベート、チャージバック、その他の管理費など、製薬会社のサプライチェーンにおける企業内取引の課題に対処するために2018年に結成されました。このグループからメーカー、卸売業者、グループ購買組織間のチャージバックのエラーやトラブルを解消するための「コントラクト&チャージバック」ソリューションが2020年に提供開始されました。

【MediLedger FDA DSCSA Pilot Working Group】
このグループは2019年に米国食品医薬品局( Food and Drug Administration:FDA)が業界全体の記録と追跡を行うソリューションの概念実証を求めたことをきっかけに結成されました。なお最終結果報告書はFDAに受理され、公開されています。

参考:ChronicledリリースHRSA

(images:iStock/dalebor・gorodenkoff・NatalyaBurova)

この記事の著者・インタビューイ

あたらしい経済 編集部

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