米ワイオミング州の「DAO法」、7月に施行へ
米ワイオミング州が自律分散型組織(DAO)の法人化を正式に認めるための法案を承認したことを発表した。2月に提出されたDAOに関する法案は、4月初めに議会で最終承認を得て、4月21日にワイオミング州マーク・ゴードン知事が署名した。
この法律によりワイオミング州のDAOは、ワイオミング州の有限責任会社(LLC)として7月から登記できるようになる。つまりDAOはワイオミング州の「Wyoming Limited Liability Company Act」に該当する組織形態となり、DAOのメンバーはDAOの債務に関する責任は有限となる。
また法人課税を選択しなければパススルー課税となる。DAOの場合のパススルー課税は、DAOで発生した利益がDAOに課税されず、DAOに出資をするメンバー個人に課税される。
ワイオミング州でDAOを設立する場合、その定款には自律分散型組織であることを示す文言や略語である「DAO」、「LAO」、「DAO LLC」などを含めなければならない。DAOの管理は定款および運営契約に別段の定めがなく、アルゴリズムが管理する場合はスマートコントラクトに帰属するものとなる。
またDAOは1人以上のメンバーを有するDAOを組織の定款の原本1部と正本または合本1部に署名し、州務長官に提出することによって結成できるようだ。なおDAOを結成したものが、組織のメンバーである必要はないとのこと。DAOを結成したものはDAOの登録代理人としての役割を果たすことになる。
DAO結成の条件として、その組織基盤となるスマートコントラクトが更新、修正、その他のアップグレードができなければならない。さらに定款には、DAOの管理、促進、運営に直接使用されるスマートコントラクトの識別子を含める必要があるとのこと。
そして定款に記載されるスマートコントラクトには「メンバー間およびメンバーと自律分散型組織との関係、メンバーとしての資格を有する者の本章に基づく権利および義務、DAOの活動とその遂行、運営規約の変更の手段と条件、会員の権利および議決権、会員権の譲渡性、メンバーシップの脱退、解散前の会員への分配、組織規定の改正、適用されるスマートコントラクトの修正、更新、編集または変更の手順、その他、DAOに関するすべての事項」に関する規定がされていなければらならない。
また定款および運営契約に別段の定めがない限りDAOのメンバーは、DAOまたはそのメンバーに対して信認義務を負わないとのことだ。
そしてDAOの議決権に関しては、メンバーの組織へのデジタル資産の貢献度を投票時に組織に貢献したデジタル資産の総量で割って算出するとのことだ。
DAOからの脱退に関しては、組織の定款、スマートコントラクト、または該当する場合は運営契約に定められた条件に従ってのみ、DAOから脱退できるとのことだ。
最後に、DAOの解散は「組織の存続のために定められた期間が満了したこと、自律分散型組織の会員の過半数の議決によるものであること、基盤となるスマートコントラクトで指定されたイベントの発生時、または組織の定款や運営契約で指定されたイベントの発生時、DAOが1年の間いかなる提案も承認せず、いかなる行動も取らなかった場合」などで起こりうるとのことだ。
参考:legiscan
(images:iStock/berya113・Дмитрий-Ларичев)