コインベースがナスダックへ直接上場、一時時価総額は約12兆2,000万円に
米コインベース(Coinbase)が4月14日にナスダックへ直接上場した。公募価格は381ドル、最高値は429.54ドル、終値は328.28ドルとなった。
時価総額は一時1,120億ドル(約12兆2000億円)を超えたが、最終的に約860億ドル(約9兆3,000億円)となった。
時価総額はストックオプションなどによる希薄化も考慮された上で算出されている。希薄化とは、転換社債やストックオプションなど将来的に株式に転換されうる権利が存在することで、現株主が保有する1株あたりの株価が低下することだ。
コインベースCFOのアレシア・ハース氏は上場に関して「ウォール街の賛同を得ようとしたわけではないが、仮想通貨の透明性を高め、より多くのユーザーに仮想通貨を紹介することを目指した」とブルームバーグの取材に対して答えている。
コインベースCEOのブライアン・アームストロング氏は上場を迎えた気持ちをブログにて「今日コインベースはナスダックに上場します。10年間の努力と多くの人々の協力により、ここまで来ることができました。
これには、自由で公平で誰にでも開かれた金融システムの構築に何年も注力してきたコインベースの全従業員が含まれます。またコインベースをご利用いただいている5,600万人の皆様も含まれています。そしてもちろん、2008年にビットコインを世に送り出し、すべてを始めたサトシ・ナカモトの存在も忘れてはなりません」と伝えている。
またブライアン・アームストロング氏は「今日の上場は画期的なことですが、目の前の新しい一日一日ほど重要ではありません。コインベースには、世界の経済的自由度を高めるという野心的なミッションがあります。
誰もが、自分と家族のためにより良い生活を築くことができる金融サービスにアクセスする権利があります。これを実現するために、私たちは多くの努力をしなければなりません。私たちはまだこの業界の黎明期にいますが、未来と使命、そしてコミュニティであるお客様のために最高の暗号資産の体験を構築することに全力を注いでいます」と説明している。
編集部のコメント
世界の証券取引所と比較すると、コインベースの現在の時価総額は香港証券取引所、シカゴ・マーカンタイル取引所、インターコンチネンタル取引所に次ぐ4番目となっています。
コインベースは現在、暗号資産の取引所でありますが、今後デジタル証券を扱う可能性も十分あるのではないかと考えられます。今年3月にはSEC元長官のブレット・レッドファーン氏を資本市場担当副社長に任命しています。
その際同氏はインタビューでデジタル証券に関するコメントも多数していました。さらに同氏はコインベースで規制当局とデジタル証券に関する業務を推進していくと報じられています。
今後のそのような展開も考えると、コインベースのポテンシャルはまだまだ大きいかもしれません。
記事:米コインベースがSEC元長官を重役に、デジタル証券に注力か
コメント:竹田匡宏(あたらしい経済編集部)
(images:iStocks/Ninja-Studio)