JCBAがFATF改訂ガイダンスに関するパブリックコメント募集

JCBAがFATF改訂ガイダンスに関するパブリックコメント募集

一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)が、FATFによる市中協議文書「暗号資産及び暗号資産交換業者に対するリスクベースアプローチに関するガイダンス改訂案:Public consultation on FATF draft guidance on a risk-based approach to virtual assets and virtual asset service providers」に伴いパブリックコメントを募集し、FATFへ意見提出することを3月31日発表した。

JCBAは本件が暗号資産業界に広く影響がおよぶ内容であるため、同協会会員のみならず一般より広くパブリックコメントを募集するとのことで、交換業者以外にもマルチシグの秘密鍵を扱う事業者、スマコン・Dapps・Layer2技術開発者、NFTやステーブルコイン関連事業者等に対しても意見の募集を行うという。

またJCBAとしてはFATFによる改訂ガイドラインの内容が確定した場合、過剰な規制導入につながり、決済利用を含めた暗号資産の適法な利用、ひいては暗号資産業界の健全な発展に支障をきたすおそれが高いと考えているとのこと。この上でJCBAは同ガイダンスの内容をさらに精査し、FATFに対して意見提出することを予定しているとのことだ。

なおJCBAでは、主な改訂提案の内容および対象となる事業者を次のように説明している。(以下引用)

(1)仮想資産及び仮想資産サービスプロバイダーの定義の拡大解釈

改訂ドラフトは、仮想資産(我が国では「暗号資産」と定義されています。以下「VA」といいます。)及び仮想資産サービスプロバイダー(我が国では暗号資産交換業者と定義されています。以下、「VASP」といいます。)の定義の拡大解釈を提案しています。 この拡大解釈によれば、VASPにはマルチシグを使用した場合に秘密鍵の一部を保有する者や、スマートコントラクトやDappsの開発・運営に関与する事業者、ライトニングネットワークのノード運営者など、これまで必ずしも規制対象と考えられてこなかった広範囲の暗号資産関係者が規制対象として含まれる可能性があります。また、VAにはステーブルコインのほか、ノンファンジブルトークン(NFT)も含まれる可能性が示唆されています。

(2)ピア・ツー・ピア取引への規制

FATFは、ピア・ツー・ピア取引(P2P取引)はFATF勧告の明示的な対象ではないとしていますが、P2P取引をAML(アンチマネーロンダリンング)/CFT(テロ資金供与対策)の観点からリスクが高いものと評価しています。この対策として、FATFは、P2P取引におけるリスクがP2P取引のML(マネーロンダリンング)/TF(テロ資金供与)リスクが許容できないほど高い場合という限定を付しつつも、例えば、VASPが非ホスト型のウォレットとの間の取引を許容する場合、加盟国はVASPのライセンスを拒否することもできるとしています。 (

3)トラベルルールの義務内容の拡張

改訂ドラフトは、従来VASP間でのVA送金取引のみを対象としていた顧客の個人情報の収集及び送金側VASPから受取側VASPに対する個人情報提供義務(「トラベルルール」)の内容を拡大し、VASPから非ホスト型ウォレットへのVA送金及び非ホスト型ウォレットからVASPのVA送金にもトラベルルールが適用されるとしています。また、トラベルルールを履行する際の手続に関し、顧客スクリーニングの手続や取引先VASPのデューデリジェンス手続などが詳細に記載されています。

パブリックコメントの募集期間は3月30日~4月7日15:00 までとなっている。また提出方法については意見提出フォーム(xslx)を記入のうえ、件名を【FATFガイダンスパブコメ提出】とし、氏名、会社名、メールアドレスを記載のうえ、一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会 事務局【pr@cryptocurrency-association.org】まで送付とのことだ。 

【添付資料】
1.FATFの改訂ガイダンスに関する意見提出について(pdf)
2.意見提出フォーム(xslx)
3.FATF「暗号資産及び暗号資産交換業者に対するリスクベースアプローチに関するガイダンス案」仮訳(pdf)
※和訳は参考資料であり、正確性を保証するものではないとのこと

参考:JCBA

(images:iStocks/Pict-Rider

この記事の著者・インタビューイ

あたらしい経済 編集部

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