【取材追記】日本初の格付け付きセキュリティトークンを三井住友信託銀行が試験的に発行、SecuritizeのDS Protocol活用(Securitize Japanカントリーヘッド, ジャパン小林英至)

日本初の格付け付きセキュリティトークンを三井住友信託銀行が試験的に発行

デジタル証券の発行・管理プラットフォームを提供するSecuritize Japan株式会社が、三井住友信託銀行株式会社によってSecuritizeのプラットフォームを利用した、日本国内初の証券化商品を裏付けとするセキュリティトークンを発行する試験的取組が行われたことを発表した。

証券化商品とは、住宅ローンや自動車ローンなどの資産とその資産から発生するキャッシュフローを担保として発行される有価証券を指す。

この試験的取組は、三井住友信託銀行が証券化商品を裏付けとする受益証券発行信託を設定し、Securitize のプラットフォームを通じて、受益証券をセキュリティトークンの形態に転換した上で、自己私募により発行したものとなる。

受益証券発行信託とは、受益権を表示する有価証券(受益証券)を発行する信託の類型だ。委託者から拠出された信託財産を信託受託者が管理し、信託財産からの収益や信託財産を受領する権利等(受益権)を、受益証券という形にして発行したものとなる。

証券化商品を裏付けとしたセキュリティトークンの発行は国内初だ。発行されたセキュリティトークンに対しては、株式会社格付投資情報センターにより「a-1」の格付が付与されており、セキュリティトークンに格付けが付与されることも日本初の事例となった。

また発行したセキュリティトークンは、金融商品取引業等に関する内閣府令第1条第4項第17号に規定される電子記録移転有価証券表示権利等に該当し、金商法適用の初のセキュリティートークンの事例となった。

三井住友信託銀行株式会社資産金融部長 尼寺啓人氏は「今回、受益証券発行信託の特徴を活用し、証券化商品を裏付けとするセキュリティトークンを発行出来たことは、専業信託銀行ならではの新たな取組が出来たものと考えております。

最新のデジタル技術と伝統的な信託機能を融合させることによる新商品の開発を積極的に推進し、変容するお客様のニーズに応えていきたいと思います」とコメントしている。

Securitize Japan株式会社 カントリーヘッド, ジャパン 小林英至氏は「今回、電子記録移転有価証券表示権利等該当、格付け付きの証券化商品STOという、日本のSTOにおけるマイルストーンとなる案件をお手伝いできたことに大きな意義を感じております。

今後これを第一歩として、日本のSTO市場発展に向けた、更なる協業関係を進めていければ嬉しく思います」とコメントしている。

追記:4月1日12時15分

あたらしい経済編集部はSecuritize Japan株式会社カントリーヘッド, ジャパン 小林英至氏へ取材を行った。

Securitize Japan株式会社 カントリーヘッド, ジャパン 小林英至氏へ取材

-DS Protocolはこれまでどのような事例をデジタル証券化してきましたか?

小林英至:(以下:小林)DS Protocolを利用することで、保有人数制限や、KYC済かつ適格投資家にしかトークンを販売・譲渡できないような制御をオンチェーンで行うことが可能となります。

これにより、従来では発行体等が紙ベースで制御する必要があったものが自動で可能になり、米国ではプライベート市場での取引を中心に利用が広がってきました。

2017年当初はブロックチェーン企業の資金調達やBCAP, SPiCE, 22xなどVCによる利用が多かったのですが、その後不動産をはじめとしてその他の領域に広がってきました。

ファイナンシャルサービス企業(CEO)、プロバスケットボール選手の年俸(DREAM Fan Shares)や映画クリエイターへの投資(leveller)など、従来では商品化されることがなかったような新しい領域にも広がりを見せています。

さらにここ1年くらいでは、グローバルで見ても金融機関による取り組みが広がっているところです。

-今後、デジタル証券化されていくべき証券化商品は何でしょうか?

小林:STOという手法・メリットはあらゆる資産、証券、キャッシュフローに当てはまるもので、また全ての証券化商品についても当てはまります。

今回のようなカード債権はもとより、ローン債権、プロジェクト持分・債権、ストラクチャードファイナンス、不動産開発・物件など、これまで一般投資家がアクセスできなかったような案件が、STOの利用により提供可能となると考えております。

編集部のコメント

証券化商品には、不動産関連のモーゲージ担保証券(MBS)や資産担保証券(ABS)などが存在しいます。今回の事例は、クレジットカードの債権を担保にデジタル証券を発行します。今後、モーゲージー担保証券と紐づくデジタル証券も発行されていくのではないでしょうか。いずれにしても発行コストと流通コストは下がると思われます。

参考:Securitize Japan

コメント:竹田匡宏(あたらしい経済)

(images:iStocks/pgraphis)

この記事の著者・インタビューイ

あたらしい経済 編集部

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