CBDCが金融監視ツールに、コントローラブルな匿名性が中国デジタル人民元の核か
中国人民銀行(PBoC)の関係者が「完全に匿名の中央銀行デジタル通貨(CBDC)は選択肢にない」とデジタル人民元の概要について3月21日に中国で開催されたイベントにて発言したことをThe Blockが報じた。
具体的には中国中央銀行のデジタル通貨研究所の責任者であるミュー・チャンチュン(Mu Changchun)氏が「コントローラブルな匿名性が、デジタル人民元の設計の核心となっている」と発言したとのこと。法定通貨には完全な匿名性があるので、コントローラブルな匿名性はそれと反するものとなる。つまりデジタル人民元は、決済手段としてだけでなく、高度な金融監視ツールとして使用することが明らかになった。
さらにミュー氏は「CBDCの匿名性の前提は、リスクコントロールが可能であることと、制限されていることです。完全に匿名のCBDCは現実的ではありません。また、コントローラブルな匿名性は、国際的なコンセンサスに基づいています。アンチマネーローンダリング、アンチテロ資金供与、反脱税の目的を満たさない設計は単純に拒否されるでしょう」と発言した。
デジタル人民元のコントローラブルな匿名性機能は、エンドユーザー同士の取引にのみプライバシーが適用され、取引の詳細は中央銀行や規制当局には明らかになる仕様となっているようだ。
参考:The Block
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