ツイッターの生みの親でありSquareで決済を改革したジャックドーシーが語る、仮想通貨とブロックチェーンが生む「あたらしい経済」(Jack Dorsey 氏突撃取材!)

特集 ポッドキャスト・インタビュー

竹田匡宏

ツイッター創業者 スクエアCEO ジャック・ドーシー (Jack Dorsey)氏 」

(We interviewed Jack Dorsey, Founder & Twitter, and CEO of Square. The first half of this sound is  a commentary on Japanese, the second half is an English interview. We are so happy if you listen to our radio!)

ツイッターの創業者であり、Square CEOであるジャック・ドーシー (Jack Dorsey)氏に突撃取材をしました。テーマはもちろん、彼が最近積極的に様々な場所で発言をしている仮想通貨・ブロックチェーンについてです。

彼がいつビットコインを知ったのか、そして仮想通貨についてどう考えているか、ツイッターで成し遂げたこととスクエアで成し遂げたいこと、そしてスクエアにとっての仮想通貨の可能性 やブロックチェーン技術などのあたらしいテクノロジーに関するジャック・ドーシー 氏の考え方などについてインタビューしています。

前半が日本語での解説、後半は英語でのインタビュー音声になっております。

音声は以下から Play Radio

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ジャック・ドーシー・インタビュー翻訳記事はこちら

-ビットコインがインターネットを完成させると考えていますか?

私は、インターネットにはネイティブな通貨が存在すると信じていて、ビットコインはその有力な候補であると思います。ビットコインは10年以上前から存在しており、流動性や信頼性の面で多くの困難を乗り越えてきました。だから、ビットコインには多くのレジリエンス力があると考えています。

そして私がビットコインを好きなのは、その背景に哲学があるからです。

ビットコインはインターネット上で開発され、インターネットと切り離して考えることができない存在です。

これまでもインターネットは最終的にネイティブな通貨を持つようになると信じてきました。そしてインターネットが本当に排除された可変的な境界を持つようになると、世界がどんどん小さくなっていくかもしれません。世界を小さくしていくための最後の大きな要素が通貨です。

暗号資産の世界、特にビットコインはその答えを提供していると思います。

人々は、よりアクセスしやすく、より速く、より効率的な方法を開発し続けているので、暗号通貨はますます使いやすくなっています。このような開発は、世界のためになるので、私はとても楽しみにしています。なぜならそれはSquareのためにもなると思うからです。

-いつビットコインの可能性を確信しましたか?

私がビットコインを知ったのは2007年にです。

そして2010年から2014年にかけては、Squareを利用する小売業者がオンラインでビットコインを受け取れるようにしました。しかしその時はあまり動きはありませんでした。

そこで私たちは、米国でのビットコインの売買機能をCashAppに組み込むことにしました。その結果、多くの動きが見られるようになりました。

私は、現在のビットコインが通貨として使えるとは思っていません。

しかし金と同等の価値があるとは信じています。知っていましたか? ビットコインは価値を蓄えるのに最適な方法なのです。

そして、それが真の通貨になるのを見たいと思います。

Lightning Networkのようなものにはとても期待しています。取引時間を大幅に短縮することができます。日常的なコーヒーの購入にも使えるようになると思います。まだまだ早いとは思いますが、それがまたとても楽しみです。

-ビットコインやイーサリアムのような有用な通貨を人々は作れるようになるのでしょうか。

はい、できると信じています。

ビットコインは素晴らしいスタートを切りましたし、もちろん他の試みもありますが、私はインターネットのための通貨を実現する手助けをしたいと思っています。世界中がそこから得られる価値を利用することができますから、私はそう信じています。

-TwitterのCEOでありながらSquareを立ち上げるのは大変でしたか?

確かにSquareのサービスを作るのは大変でした。
しかし、今は面白い金融テクノロジーがたくさんあるので、金融テクノロジーを中心としたスタートアップに参入するのはどんどん簡単になってきていると思います。

私は世界で見られるすべての金融テクノロジーやスタートアップが活躍していることを本当に嬉しく、誇りに思っています。なぜならその状況が世界中で見られるようになったのですから。これはとてもエキサイティングなことであり、今後もこの状況は勃興していくと思います。

-そもそもなぜSquareを立ち上げたのでしょうか?

私たちは、クレジットカードが使えないために経済活動から取り残されている人々が存在していることを目の当たりにしました。アメリカでは、特にこれは大きな問題でした。

というのも、多くの人がクレジットカードを使って買い物をしているのに、どこも暗号資産などデジタル通貨の決済を受け入れてくれなかったのです。

そこで私たちは、非常にシンプルなハードウェアとソフトウェアを構築し、誰でも、どこから来ても、銀行口座を持っていてもいなくても、暗号資産を受け入れることができるようにして、経済により深く参加できるようにしました。

– 理想の経済のあり方はどのようなものでしょうか?

それはおそらくインターネットの中でデータの送受信の一部に関係しています。

誰もが参加できて、高速で自由で効率的なグローバル経済は理想的だと思います。

ビットコインでその一部が実現しつつあると思います。またセキュリティは決済や経済の主要な要素ですから、安全性が高く、個人が参加しやすいサービスを提供するものが理想的だと思います。

-今のビットコインやイーサリアムでは、支払いのシステムが難しく、いろいろな問題がありますが、どのように考えていますか。

すべてのテクノロジーは、最初は少しばかり拡張性に欠け、少しばかり複雑で、時が経つにつれて人々はそれらをどんどんシンプルにし、より希少価値の高いものにしていくのだと思います。だから、暗号資産も同じような道を辿るのではないかと考えています。

Squareは複雑なものを人々が簡単に操作できるようにすることに長けています。シンプルにすれば、より多くの人がアクセスして価値を得ることができるからです。

-ジャックの人生の野望はなんでしょうか?

私はツールを開発し人々をエンパワーメントすることが楽しいから生きています。
そして、通常の能力を超えて人の可能性を増幅させるツールは、コミュニケーションや会話の構築を増幅させます。

例えばSquareは、ビジネスを始めたばかりの人でも、ビジネスを成長させている人でも、グローバルで同じ土俵で戦えるようにしてくれます。またCash Appは、個人でも利用でき、より多くの人が経済に参加できるようになります。

私の野望は、様々なツールを構築して、人々がこのシステムにもっとグローバルに、もっと公平に参加できるようにすることです。

-今日は素敵なお話ありがとうございました。最後に、ちょうど今夜のある経済メディアのインターネット番組に私たち「あたらしい経済」の編集長が出演します。ですがそのこの番組のテーマは「仮想通貨は死んだのか?」なんです。その番組に出るにあたってアドバイスいただけませんか?

私は暗号資産の技術が死んだとは思いません。人々の興味の浮き沈みだと思います。

というのも、これらの技術が登場したとき、人々は「明日は何が起こるのだろう」と期待に胸を膨らませるものだからです。それが明日には起こらないとなると、人々は失望し、その行く末に少し幻滅してしまうのです。しかし、彼らは時間がかかると思っています。

ビットコインが登場して10年になりますが、毎日取引ができるような使い勝手になるまでには、あと5年から10年はかかると思います。

コーヒーを買うこともできるし、インターネット上で追加の通貨になることも想像できます。私はこれが死であるとは思いません。

これらのテクノロジーがなくなることはないと思います。どんどん良くなっていきますが、人々の期待は非常に短く、もっと素晴らしいことを考えなければなりません。

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この記事の著者・インタビューイ

竹田匡宏

兵庫県西宮市出身、早稲田大学人間科学部卒業。 「あたらしい経済」の編集者・記者。