トランプラリー継続、ビットコイン史上最高値さらに更新、時価総額で銀を抜く(仮想通貨市場レポート 11/18 号)

特集 暗号資産 週間マーケットレポート

暗号資産マーケットレポート

今週もSBI VCトレード提供の暗号資産(仮想通貨)に関するウィークリー・マーケットレポートをお届けします。

11/10~11/16週のサマリー

  • トランプ次期大統領がイーロン・マスク氏を政府効率化省(DOGE)のリーダーに任命
  • ビットコイン価格(ドル建て・円建て)が史上最高値を更新、XRPは2021年以来の180円台
  • 米ペンシルベニア州議員、州財務省バランスシートの最大10%相当をビットコインで保有する法案を提出

暗号資産市場概況

11/10~11/16週におけるBTC/JPYの週足終値は前週比+20.31%の14,045,000円、ETH/JPYの週足終値は同+3.61%の486,830円であった(※終値は11/16の当社現物EOD[11/17 6:59:59]レートMid値)。

先週の暗号資産市場は、米大統領選でのトランプ氏当選に伴うラリーが継続。ビットコインは時価総額において銀を抜き(下部に資産別時価総額ランキングを掲載)、ドル建て・円建てともに史上最高値をふたたび更新した。また、ビットコイン単体に資金流入が集中しがちであった前週以前と比較し、アルトコインの価格上昇が目立った点も印象的であった(主要上昇銘柄の騰落率チャートを下部に掲載)。

上昇銘柄のうちDOGEは、週央にトランプ次期大統領がイーロン・マスク氏(ならびにヴィヴェック・ラマスワミ氏)を政府効率化省(Department of Government Efficiency = DOGE)トップに任命したヘッドラインの影響が大きかった。XRPについては、CEOのブラッド・ガーリングハウス氏は「暗号資産に有利な政策、規制の明確化、市場の好調さによるもの」と語っているが、米国で人気を誇る取引プラットフォーム「ロビンフッド」に再上場されたことや、ゲンスラーSEC委員長の退任期待(トランプ氏が過去に表明)も影響しているのではないか。XDCについては、R3 Corda関連の普及進展が好感されたものと考えられる。これらの出来事を背景にDOGEとXRPは共に2021年5月以来の高値となり、それぞれ60円台、180円台を付けた。

CPI発表通過後にヘッジ解消が進み週高値を更新したビットコイン価格は、PPI発表後に再度インフレ粘着化(米金利利下げの長期化)が意識され下落、翌日のパウエルFRB議長発言においても、労働市場の冷え込みを指摘し、「現在の経済は利下げを急ぐ必要性を示唆していない」と述べたことで調整を迎えた。

週末にかけては主だった経済指標もなく、レンジ圏で調整分を取り戻す値動きとなった。

その他、暗号資産関連ファンダメンタルズの中で目を引いたのは、フォーム13Fの締切(11/14)であった。フォーム13Fとは、米証券取引委員会(SEC)が管理する公開報告書であり、1億ドル以上の資産を管理している機関投資家が、四半期ごとに保有する有価証券(株式、債券、ETFなど)を報告する義務を負っている。伝統的金融における暗号資産の大口保有者はフォーム13Fの公開を通じて保有資産を明らかにすることから、ビットコイン現物ETFの開始以来、暗号資産市場からの注目も集めるようになっている。

今回の開示ではETHの現物ETFが(グレイスケールを除き)上場以来初の公開となり、354の機関投資家がETH 現物ETFを保有していることが判明。BTC現物ETFの保有者は1,308機関であり、前四半期の1,266機関を上回った。ペンシルバニア州におけるビットコイン戦略準備金法案の提出等と併せ、大口投資家への暗号資産の浸透が徐々に進んでいることを示すポジティブな内容だったといえる。

次週以降は、トランプ政権における閣僚人事の進展に注目したい。現在、トランプ氏は親暗号資産的な人物を含む閣僚候補の指名を進めているが、指名された人物が実際にポストを獲得するためには上院から承認を得る必要がある(そのため、必ずしもトランプ氏が指名した人物が指定のポストに就くかはわからない)。トランプ氏が閣僚候補を指名した場合は、その人物が親暗号資産的であるか否かに加え、実際に就任するか否かまでセットでフォローできると、目先のトランプ政権について暗号資産目線での解像度が格段に上がるのではないかと思料する。

1) BTC/USD週間チャート(30分足)

TradingView提供のチャートにてSBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成

2) BTC/JPY週間チャート(30分足)

TradingView提供のチャートにてSBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成

3) BTC/USD, XRP/USD, DOGE/USD, XDC/USD週間騰落率チャート(30分足)

TradingView提供のチャートにてSBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成

4) 資産ごとの時価総額ランキング(11/18時点)

CompaniesMarketcap提供の図表より SBI VC トレード株式会社 市場オペレーション部作成

5) ビットコイン現物 ETF の資金流入出と運用資産残高合計、ビットコイン価格

(緑・赤のバーが資金流入出 / 白線が運用資産残高合計/ 橙線がビットコイン価格)SoSoValue提供のチャートより SBI VC トレード株式会社 市場オペレーション部作成

6)イーサリアム現物 ETF の資金流入出と運用資産残高合計、イーサリアム価格

(緑・赤のバーが資金流入出 / 白線が運用資産残高合計/ 紫線がイーサリアム価格)SoSoValue提供のチャートより SBI VC トレード株式会社 市場オペレーション部作成

11/10~11/16週の主な出来事

11/17~11/23週の主な予定

【今週のひとこと】戦略的ビットコイン準備金

米共和党のシンシア・ルミス上院議員は7月末、ビットコインを国家資産(戦略的準備金)として保有することで経済安定性を高め、財政赤字を削減することを目的とした「2024年ビットコイン法」案を提出しました。

この計画では、年間最大20万BTC、5年間で合計100万BTC(供給量のほぼ5%)を購入する「ビットコイン購入プログラム」を設立し、最低20年間保有、連邦債務返済目的でのみ売却でき、20年経過後は、2年間あたり資産の10%以上を売却できないものとしています。

また、トランプ次期大統領は、米国政府が保有するビットコインを「戦略的国家ビットコイン準備金の中核として」保有し、「すべてのアメリカ人に利益をもたらす恒久的な国家資産に変える」と述べました(ただし現時点での米国政府保有BTCのほとんどは犯罪者からの押収物であり、ハッキング被害を受けた暗号資産取引所Bitfinexに返還される可能性が残されています)。

先週14日には、ペンシルバニア州議員のマイク・キャベル氏とアーロン・カウファー氏からも、州財務省バランスシートの最大10%をビットコインで保有する「戦略的ビットコイン準備金」法案が提出されました。エル・サルバドル等の先例に続き、国家や自治体などの主体がバランスシートの一部にビットコインを組み込む流れは、今後も広がっていくかもしれません。

このレポートについて

国内の暗号資産(仮想通貨)取引所「SBI VCトレード」提供の週間マーケットレポートです。毎週月曜日に最新のレポートをお届けします。

→「SBI VCトレード」はこちら

<暗号資産を利用する際の注意点>
暗号資産は、日本円、ドルなどの「法定通貨」とは異なり、国等によりその価値が保証されているものではありません。
暗号資産は、価格変動により損失が生じる可能性があります。
暗号資産は、移転記録の仕組みの破綻によりその価値が失われる可能性があります。
当社が倒産した場合には、預託された金銭及び暗号資産を返還することができない可能性があります。
当社の取り扱う暗号資産のお取引にあたっては、その他にも注意を要する点があります。お取引を始めるに際しては、「取引約款」、「契約締結前交付書面」等をよくお読みのうえ、取引内容や仕組み、リスク等を十分にご理解いただきご自身の判断にてお取引くださるようお願いいたします。
秘密鍵を失った場合、保有する暗号資産を利用することができず、その価値を失う可能性があります。
暗号資産は支払いを受ける者の同意がある場合に限り、代価の支払いのために使用することができます。

画像:Reuters

この記事の著者・インタビューイ

SBI VCトレード

SBIグループの暗号資産取引所「SBI VCトレード」。SBIグループの掲げる顧客中心主義の理念のもと、お客様の満足度向上に資する暗号資産取引に係るサービスをフルラインナップでご提供してまいります。