米経済の見通しが不安、ビットコイン/暗号資産市場の動きは?(仮想通貨市場レポート9/9号)

特集 暗号資産 週間マーケットレポート

暗号資産マーケットレポート

今週もSBI VCトレード提供の暗号資産(仮想通貨)に関するウィークリー・マーケットレポートをお届けします。

9/1~9/7週のサマリー

  • 米国の重要な指標ラッシュを終え、市場は米経済の見通しを不安視
  • 米雇用統計後、市場は9月50bpsの利下げを30%織り込む
  • FRBウォラー理事「データがより大きな利下げの必要性を示唆するのであれば、私もそれを支持する。」

暗号資産市場概況

9/1~9/7週におけるBTC/JPYの週足終値は前週比▲11.12%の7,678,200円、ETH/JPYの週足終値は同▲12.45%の322,470円であった(※終値は9/7の当社現物EOD[9/8 6:59:59]レートMid値)。

先週は米ISM製造業景況指数、JOLTS求人、ISM非製造業景況指数、雇用統計と重要な指標ラッシュがあり、総合すると米経済の見通しが不安になる結果となった。金利先物の動きは9月50bpsの利下げを30%まで織り込んでいる。ISM景況指数については、9月から利下げが開始されるのに8月に資金を借り入れ、設備投資を行う企業は少ないとの見方もあり、利下げが実施されるに従い企業の設備投資や生産活動が上向き、改善していく可能性も考えられる。

FRBウォラー理事は「データがより大きな利下げの必要性を示唆するのであれば、私もそれを支持する。」「それらの決定は新しいデータによって決定されるだろう。」と利下げ幅について明言はしていないが9月は25bps利下げ、その後はデータに応じて機敏に対応する見方を示した。あくまで雇用統計のデータは9月50bpsの利下げを決定づけるものではないという見方であり、市場も9月については25bpsの利下げをコンセンサスとしている。市場の注目点としては、9月の利下げ幅がどうなるかというよりも、利下げ幅が小さいことで景気後退を招くのではないかという点であり、景況感を表す17日の米8月小売売上高に注目が集まるだろう。

今週は8月5日のような大暴落から始まる週となることが危惧されているが、以前と異なる点としては土日に暗号資産が下落していない点が挙げられる。ただしBTCは9月にパフォーマンスが悪くなりやすいというアノマリー、恐怖指数(VIX)が8月2日と同程度の水準にあることなどは気がかりな点であると言える。11日には米8月消費者物価指数(CPI)が発表されるが、以前よりも重要度が落ちており比較的イベントの少ない週となるだろう。とはいえ市場のセンチメントは悪化しており慎重なスタンスが求められる。

1)BTC/USD週間チャート(30分足)

TradingView提供のチャートにてSBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成

2)BTC/JPY週間チャート(30分足)

TradingView提供のチャートにてSBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成

9/1~9/7週の主な出来事

9/8~9/14週の主な予定

【今週のひとこと】北朝鮮による暗号資産犯罪

先週はアメリカ連邦捜査局(以下、FBI)が北朝鮮による暗号資産業界への攻撃に注意を呼びかけました。北朝鮮による暗号資産関連犯罪は年々高度化しています。今回FBIは、北朝鮮が個人の暗号資産所有者から法人のETF運用会社に至るまで幅広いターゲットを狙っていると明らかにしました。特に、社会工学的な手口を駆使した暗号資産犯罪について知っておく必要があります。

社会工学的な手口とは、簡単に言えばなりすまし詐欺と言えます。攻撃者たちはターゲットに対し、様々なプロフィールを用いて接近してくることが想定されています。著名な会社のリクルーターや投資家、アプリ開発者など、その種類は多岐にわたります。予想外の高額な雇用オファーや投資の勧誘には更なる警戒が必要になります。ターゲットとソーシャル・ネットワーキングを行い、ターゲットのウォレットの秘密鍵を盗んだり、攻撃コードを埋め込んだりすることが考えられます。

上記のように、近年の手口はますます巧妙になっています。暗号資産犯罪で盗まれた資金は、北朝鮮が国際的な法執行機関に非協力的なため、差押えや追跡が非常に困難です。実際に、アメリカのブロックチェーン分析会社Chainalysis社によると、2023年までの北朝鮮によるハッキング被害額は約35.4億ドル(5,000億円)にのぼると報告されています。さらにその資金はミサイル開発の資金源にもなっており、安全保障上の問題についても重大といえます。

暗号資産市場が注目されることと同時に、最新のセキュリティ対策を講じることが求められています。企業も個人もこうした脅威に万全を期して備えておくことが重要になるでしょう。

このレポートについて

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この記事の著者・インタビューイ

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