トランプ銃撃事件後にビットコイン大幅上昇、ドイツ政府大口売却懸念も一部払拭(仮想通貨市場レポート7/16号)

特集 暗号資産 週間マーケットレポート

暗号資産マーケットレポート

今週もSBI VCトレード提供の暗号資産(仮想通貨)に関するウィークリー・マーケットレポートをお届けします。

7/7~7/13週のサマリー

  • 米6月消費者物価指数(CPI)が+3.0%と予想の+3.1%を下回り、9月利下げ観測が強まる
  • ドイツ政府とみられるウォレットの残高が0となり、5万BTCの売却が終了した可能性
  • トランプ前アメリカ大統領、ペンシルベニア州で演説中に銃撃を受ける

暗号資産市場概況

7/7~7/13週におけるBTC/JPYの週足終値は前週比-0.81%の9,259,650円、ETH/JPYの週足終値は同+1.26%の499,400円であった(※終値は7/13の当社現物EOD[7/14 6:59:59]レートMid値)。

先週の暗号資産市場は、大口のBTC売却フローをこなし、ビットコイン現物ETFへの好調な資金流入や米国の9月利下げ観測の高まりによるリスク性資産への資金流入を背景に底堅く推移した。

週初BTCは、先週より引き続くMt.Gox社やドイツ政府といった大口の売却懸念から54,000ドル台に下押しする軟調な展開となった。Mt.Gox社のウォレットに移動がなく反発する場面が見られても、ドイツ政府の断続的な売却フローにより上値が抑えられた。

週央にBTC現物ETFの流入フローが2億ドル強となり、59,000ドルまで上昇する展開となるが、欧州時間に入り、再度ドイツ政府の売却フローにより上値を抑えられる。

木曜日、注目された6月の米消費者物価指数(CPI)が+3.0%と予想の+3.1%を下回り、9月の利下げ観測が強まると米国債利回りは低下し、BTCは再度59,000ドル台まで上昇した。CME FedWatch Toolによると、金曜日のフェデラルファンド(FF)金利先物は、前日まで60%台であった9月の利下げ確率を88.1%まで織り込む数値を示す形となった(CME FedWatch Toolの金利の折り込み確率の確認方法については 暗号資産週間レポート6/17号【今週のひとこと】を参照されたい)。

また為替市場では11日、米CPIの発表とともにドル円が161円台から、一時157円30銭台まで円高が進行し円建てBTC相場の重石となった。神田財務官はコメントを差し控えたが、市場では日銀が為替介入を行った可能性があると囁かれている。

米株式市場の上昇を捉えきれないBTCであったが、週末ドイツ政府のウォレット残高が0になったことが確認されると、大口売却懸念が一部払拭されたことで市場に安心感が広がり、暗号資産市場は底堅く推移し週末を迎えた。

週末には、11月の大統領選挙に向けて活動中であったトランプ前米大統領がペンシルベニア州の演説会場で銃撃された。一時緊張が走るも力強く会場を後にしたことで、かねてより暗号資産を公に支持していた同氏の優勢が意識されるとともに、BTCは大幅に上昇した。その後も共和党副大統領候補に、自身でも暗号資産を保有し暗号資産に友好的であるバンス氏が選出されるなどしたことで暗号資産は堅調に推移した。

次週も大口の資金動向に気を配りつつ、米利下げ観測により高値圏で推移する株式市場の動向に注視していく必要がある。市場が注目する半導体セクターの動向として、7/17のオランダのASMLホールディング、7/18の台湾のTSMCの決算発表には注目したい。

1)BTC/USD週間チャート(30分足)

TradingView提供のチャートにてSBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成

2)BTC/JPY週間チャート(30分足)

3)ビットコイン現物 ETF の資金流入出と運用資産残高合計、ビットコイン価格

(緑・赤のバーが資金流入出 / 白線が運用資産残高合計/ 橙線がビットコイン価格)SoSoValue提供のチャートより SBI VC トレード株式会社 市場オペレーション部作成

4)BTCとS&P500の相関係数

(橙線がBTC価格、青線が相関係数)TradingView社提供のチャートより SBI VC トレード株式会社 市場オペレーション部作成

7/7~7/13週の主な出来事

7/14~7/20週の主な予定

【今週のひとこと】RWA(Real World Assets)

先週8日に米大手資産運用会社ブラックロックの米国債RWAファンド「BUIDL (BlackRock USD Institutional Digital Liquidity Fund)」の時価総額が5億ドルを突破したことが話題となりました。本号では「RWA」について説明をします。

「RWA」とはReal World Assets、すなわち現実世界に存在する資産を示す用語のことです。具体的には金、不動産、株式、絵画などの資産が対象です。茲許ではRWAのトークン化の流れが進んでおり、伝統的な金融機関である前述のブラックロックや同フィデリティ、先週には同ゴールドマンサックスもRWAに関連したプロジェクトの計画を明かしました。

「RWA」のトークン化にはどのようなメリットがあるのでしょうか。主なメリットとしてブロックチェーンの使用による取引の透明性や流動性の向上が挙げられるでしょう。流動性の向上では、不動産の小口投資により少額からの投資が可能となり、従来はマーケットへの参入障壁があった投資家の参入が期待されます。

日本の暗号資産市場においてもRWAトークンの取扱いは開始されています。当社(SBI VCトレード)にて取引可能な「ジパングコイン(ZPG)」は金に裏付けされたステーブルコインとして発行されており、1ZPG=1gの金となるように設計されています。急速に発展しつつあるRWAのトークン化は暗号資産市場への新たな資金流入元となる可能性を秘めているでしょう。

このレポートについて

国内の暗号資産(仮想通貨)取引所「SBI VCトレード」提供の週間マーケットレポートです。毎週月曜日に最新のレポートをお届けします。

→「SBI VCトレード」はこちら

<暗号資産を利用する際の注意点>
暗号資産は、日本円、ドルなどの「法定通貨」とは異なり、国等によりその価値が保証されているものではありません。
暗号資産は、価格変動により損失が生じる可能性があります。
暗号資産は、移転記録の仕組みの破綻によりその価値が失われる可能性があります。
当社が倒産した場合には、預託された金銭及び暗号資産を返還することができない可能性があります。
当社の取り扱う暗号資産のお取引にあたっては、その他にも注意を要する点があります。お取引を始めるに際しては、「取引約款」、「契約締結前交付書面」等をよくお読みのうえ、取引内容や仕組み、リスク等を十分にご理解いただきご自身の判断にてお取引くださるようお願いいたします。
秘密鍵を失った場合、保有する暗号資産を利用することができず、その価値を失う可能性があります。
暗号資産は支払いを受ける者の同意がある場合に限り、代価の支払いのために使用することができます。

写真:USA TODAY NETWORK via Reuters Connect

この記事の著者・インタビューイ

SBI VCトレード

SBIグループの暗号資産取引所「SBI VCトレード」。SBIグループの掲げる顧客中心主義の理念のもと、お客様の満足度向上に資する暗号資産取引に係るサービスをフルラインナップでご提供してまいります。