Mt.Gox弁済報道で大幅下落も、現物ETFへ資金流入で下げ止まりレンジ相場(仮想通貨市場レポート7/1号)

特集 暗号資産 週間マーケットレポート

今週もSBI VCトレード提供の暗号資産(仮想通貨)に関するウィークリー・マーケットレポートをお届けします。

6/23~6/29週のサマリー

  • Mt.Gox社管財人、7月初旬にBTC・BCHの弁済を開始と発表、それを受けビットコインは5月中旬以来となる58,000ドル台前半まで下落
  • VanEck社がソラナ(SOL)現物ETFの登録届出書を米証券取引委員会(SEC)に提出
  • 米国証券取引委員会(SEC)は、MetaMaskウォレットを運営するConsensysに対し、スワップとステーキングサービスが未登録の証券業にあたるとして提訴
  • 大手暗号資産取引所のCoinbase、米証券取引委員会(SEC)および連邦預金保険公社(FDIC)に対して調査の情報開示が行われなかったとして提訴

暗号資産市場概況

6/23~6/29週におけるBTC/JPYの週足終値は前週比-4.48%の9,817,000円、ETH/JPYの週足終値は同-2.71%の544,875円であった(※終値は6/29の当社現物EOD[6/30 6:59:59]レートMid値)。

先週の暗号資産市場はMt.Gox社管財人の弁済開始が7月初旬と発表されたことを受け、BTC価格は大きく下押しするも、流出が続いていたビットコイン現物ETFのキャッシュフローが純流入に転じたことを背景にその後は下げ止まりを見せ、レンジ相場を形成する展開となった。

週初ビットコインはMt.Gox社管財人の弁済開始が7月初旬と発表されたことを受け、62,000ドル台付近から58,000ドル台付近まで約4,000ドル幅の下落を見せる。Mt.Gox社のBTC・BCH弁済を巡っては、「売却を伴わない保有分」の割合が多い可能性も指摘されるが、実際の市場へのインパクトは弁済が始まってからではないと不明な部分が多い為、引き続き今後の動向には注視していきたい。債権者に弁済される14万BTCという数量は巨額ではあるが、FBTCの16万BTCより少なく、IBITの30万BTCの半分以下であるという点にも留意しておきたい。

前週において振るわなかったビットコイン現物ETFのキャッシュフローであるが、24日営業日分については純流出が見られたものの、25~28日営業日分については連続した純流入が観測され相場の下支えになったといえるだろう。

注目された米個人消費支出(PCE)については市場予想通りの結果を受け、米連邦準備制度理事会(FRB)の年内に利下げを開始する可能性が示唆され、発表直後は米金利低下、米国株も上昇して寄り付く。しかしBTC価格には追い風とならず、その後の米金利上昇に上値を抑えられ61,000ドル前後での価格帯で週末を迎えた。

アルトコイン市場ではVanEck社がソラナ(SOL)現物ETFの登録届出書(S-1フォーム)を米証券取引委員会(SEC)に提出したことを受けSOLが急騰、週を通しても主要通貨に比べアウトパフォームした。

登録届出書提出に併せてVanEckのデジタル資産調査責任者であるMatthew Sigel氏はXにてSolanaはコモディティあることを主張。昨年米国証券取引委員会(SEC)は、大手暗号資産取引所のBinanceを告発した際SOLは証券であると主張しており、「特定の暗号資産がSECの管轄下にある証券なのか、それとも商品先物取引委員会の管轄下にあるコモディティなのか」という問題に未だ明確な答えが出ていない中での申請であるということは興味深い。

また他方では27日に米SECがMetaMaskウォレットを運営するConsensysを提訴し、28日には大手暗号資産取引所Coinbaseが米SECを提訴するという訴訟関連のトピックが目立つ週となった。

次週は予てより業界関係者より言及されてきた、イーサリアム現物ETFの「S-1」フォームの承認予想日を迎える。仮に同フォームが承認された場合、SECにおいてステーキングの付帯していないETHは証券ではないという点が確定することとなる。これは長年の暗号資産業界と規制当局の争いに一定の回答が提示されることとなり、承認された場合の暗号資産業界の動向及び市場の反応には最大限注意を払いたい。

1)BTC/USD週間チャート(30分足)

TradingView提供のチャートにてSBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成

2)BTC/JPY週間チャート(30分足)

TradingView提供のチャートにてSBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成

3)ビットコイン現物 ETF の資金流入出と運用資産残高合計、ビットコイン価格

(緑・赤のバーが資金流入出 / 白線が運用資産残高合計/ 橙線がビットコイン価格)
SoSoValue提供のチャートより SBI VC トレード株式会社 市場オペレーション部作成

4)SOL/USD週間チャート(30分足)

(黄色のバーが未決済建玉 / 黒線がビットコイン価格)
(Glassnode提供のチャートより SBI VC トレード株式会社 市場オペレーション部作成

6/23~6/29週の主な出来事

6/30~7/6週の主な予定

【今週のひとこと】政府機関の保有するBTCの動向

先週はドイツ政府、アメリカ政府が保有するBTCを暗号資産取引所へ移動させたことが話題となりました。オンチェーン情報追跡プラットフォームのArkhamによると、ドイツの政府機関である連邦刑事警察庁(BKA)は6月19日より断続的に複数の暗号資産取引所に移動させており、BKAのBTC残高は6月29日までの間に3,500枚程残高を減少していることを確認することができます。また、アメリカ政府が6月27日に米暗号資産取引所であるCoinbaseに3,940BTCを移動させたことを確認することができます。政府機関が暗号資産取引所にBTCを移動させることは売り圧となることを連想させるため、先週のBTC相場が軟調になった理由の一つと言えるでしょう。

BKAは2024年1月に、ドイツの海賊版ポータルサイトを運営していた責任者2名から5万BTCを押収しており、この時のBTCについての処分が始まったと思われます。また、アメリカ政府が今回移動させたBTCはダークウェブマーケット「シルクロード」の運営者であるBanmeet Singh氏から押収されたものです。アメリカ政府はシルクロード関連では他にも何度かBTCを押収しており、2023年12月には「シルクロード」の創設者である Ross Ulbricht氏が保有していた69,370BTCを管理下に置いています。アメリカ政府は6月29日時点では213,534BTCを保有しており、今後も売り圧として市場に影響を与える可能性があります。

このレポートについて

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この記事の著者・インタビューイ

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